【投資家への警告】ファンドラップってなに?本当にお得?現役法律事務員が明かすリアルな実態!

こんにちは、某法律事務所にて日々投資詐欺案件に携わっています、投太郎です。

今回は最近よく耳にする「ファンドラップ」について、仕組みや問題点を解説しつつ、私の個人的な意見も交えてお伝えしていきます。

何でもお任せで資産が増えると喧伝されていますが、実際には「手数料が高すぎる」とか、「銀行や証券会社の都合で売られてるだけ」なんて声もちらほら聞こえてきますが、全くもってその通りだと考えています。

投太郎
投太郎

マジでお勧めしません。

普通にインデックス投資をすれば低コストで効率よく運用できるのに、ファンドラップは不必要に高い手数料を取る仕組みだからです。

銀行や証券会社が自分たちの利益のために売っている商品だと感じざるを得ません。

一応この記事では「ファンドラップの基本的な仕組み」や「高額な手数料やリスク、どこが問題なのか」といった点をはっきりさせていきますが、これが結論なので、満足された方は別の記事を読んでください笑

ただ、「ちょっと詳しく知りたいな」と思った方は、このまま読み進めてみてください。

「知らなかった」で済ませられない投資のリアル、一緒に深掘りしていきましょう!

ここでは、ファンドラップの基本的な概要や、そのサービスが生まれた背景についてお話しします。

加えて、一応メリットとデメリットについても触れていきます

1-1 ファンドラップとは?

ファンドラップとは、投資のプロに資産運用を丸ごと任せられるサービスのことです。

通常、投資といえば自分で金融商品を選び、それを購入・管理するのが一般的ですよね。

でも、ファンドラップでは証券会社に資産運用を一任できるのが大きな特徴です。

具体的には、まず投資家が「どれくらいリスクを取れるのか」や「どんな目的で投資したいのか」といった希望を証券会社に伝えます。

その情報をもとに、専門家が複数の投資信託の中から最適な組み合わせを選び、運用を進めてくれる仕組みです。

投資信託とは?

 

 

(引用:イーデス「投資信託とは?初心者にもわかりやすく解説!利益が出る仕組みも図解で簡単に説明」)

 

つまり、簡単にまとめると、投資信託は「投資先の企業を選ぶサービス」で、ファンドラップは「投資信託自体を選んで運用するサービス」と考えると分かりやすいですね。

ファンドラップはとても便利なサービスに思えますが、その裏には「二重の手数料」という見落とされがちな問題があります。

一つはファンドラップの運用手数料、もう一つはファンドラップ内の個々の投資信託への手数料です。

以下に簡単なイメージ図を示します。

このように中間業者が多く関わるため、結果的にコストがかさみやすいのがファンドラップの弱点です。

ちなみに、ファンドラップの運用対象は、投資信託だけに限らず、株式や債券、場合によっては不動産投資信託(REIT)など、さまざまな金融商品を組み合わせることもあるようです。

最近注目されている「ロボアドバイザー」も、ファンドラップに似た構造を持っています。

ロボアドバイザーでは、人間の投資専門家の代わりにAIが投資の管理を担っています。

1-2 ファンドラップ誕生までの歴史

さて、なぜ現代の投資世界には、こんなにも多くの中間業者が存在するのでしょうか。

その理由を探るには、投資の歴史を振り返る必要があります。

現代の投資手段は多様化していますが、そもそも投資は、投資家が個別株を自分で選び、売買するシンプルな方法から始まりました。

しかし、時代の流れとともに、投資信託やファンドラップといった新しいスタイルが生まれています。

個別株の時代

投資の原点は、投資家が個々の株式を直接選んで購入するものでした。

これの魅力は、投資家自身が企業の業績や市場の動向を分析し、自らの判断で投資成果を得られる点です。

しかし、これには高度な知識と市場分析力が必要で、リスクも高くなりがちでした。

時代が進むにつれ、上場企業の数は増加し、2024年現在ではなんと3931社に達しています。

以下に1975年からの上場企業の推移を示します。

(引用:グラフで見る世界の統計 GraphToChart「日本の国内上場企業の合計数(推移と比較グラフ)」)

2013年末に日本の上場企業数が大幅に増加した主な理由は、東京証券取引所のJASDAQ市場とTOKYO PRO MARKETが統計の対象に含まれたことにあります。

これだけの中から投資先を選ぶのは、一般の投資家にとって非常に困難です。

特に情報の量や判断の精度が求められる中、個別株投資は次第にハードルが高いものになっていきました。

その結果、登場したのが投資信託です。

投資信託の登場

投資信託は、多くの投資家から資金を集め、専門家であるファンドマネージャーがその資金を運用する仕組みです。

投資信託の最大のメリットは、分散投資でリスクを抑えられることと、専門家に運用を任せられる安心感にあります。

また、2008年のリーマンショック以降、分散投資の重要性が高まり、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAといった制度の普及が投資信託を後押ししました。

さらに、ネット証券の普及により、誰でも手軽に投資信託を購入できる時代が到来。

結果として投資信託の種類は増え続け、現在では上場企業の数を上回り、約6000件という異様な状態までになりました。

下記に投資信託の本数の推移を示します。

(引用:投資信託協会「投資信託の主要統計(2023年9月)」8ページ)

「投資信託の数が上場企業の数を上回る」という逆転現象が起き、投資家にとって選択肢が増えすぎてしまったのです。

投資をファンドマネージャーに任せられるはずが、結局上場企業よりも多い投資信託の中から、あなたが自ら投資商品を選ばないといけないという矛盾を孕んでいるのが現状です。

 

つまり、プロに委託しているように見えて、実のところほとんど自分で投資を行っているのと同じということです。

要するに、個別株と同様、これだけある投資信託の中から、まともに投資先を選ぶことが困難になってしまったのです。

そこで登場したのが、ファンドラップやロボアドバイザーという投資商品です。

ファンドラップの誕生とその裏事情

そんな中、「多すぎる選択肢をまとめて任せたい」というニーズに応える形で登場したのが、ファンドラップロボアドバイザーです。

ファンドラップは、投資の専門家が顧客のリスク許容度や投資目的に応じて、最適なポートフォリオを構築し、運用を管理するサービスです。

簡単に言えば、顧客が個々の投資信託や商品を選ぶ手間を省き、すべてを任せられる仕組みであり、忙しい人や投資知識が少ない人にとっては便利な選択肢に映ります。

投太郎
投太郎

選択肢が複雑化してくると、誰しも自分で選ぶのがめんどくさくなってくるんですね。

ファンドラップの普及には、投資家側のニーズだけでなく、金融業界の事情も関係しています。

日本投資顧問業協会が公表している資産状況のデータによれば、2023年6月末時点での投資一任契約の残高は15兆9232億円、契約件数は154万2738件となっており、破竹の勢い伸びています。

(引用:日本経済新聞「ラップ残高が15兆円突破、契約件数も過去最高」)

2023年6月末時点の契約残高の上位企業ランキングを見ると、野村証券がトップで、契約残高は3兆4057億円に達し、契約件数は16.3万件に減少したものの、残高は前期に比べ5.7%増加しました。

次いで、SMBC日興証券と大和証券が、それぞれ3兆円以上の高い残高を保持しています。

これら2社は前期に比べ、2桁の伸び率を記録し、野村証券への追い上げを見せています。

(引用:日本経済新聞「ラップ残高が15兆円突破、契約件数も過去最高」)

これらの企業が積極的にファンドラップを販売する背景には、業界全体の収益構造の変化があると言えます。

以下は日本経済新聞からの抜粋です。

もともとファンドラップが普及した背景には、業界特有の「事情」があります。

これまで証券会社は、顧客に短期間で新しいファンドに乗り換えさせる「回転売買」などで手数料収入を得てきました。

しかし顧客の利益を削るこの販売手法が金融庁から問題視され、「資産管理型営業」への方向転換を迫られたのです。

そこから証券会社が販売に注力したのがラップ口座です。

証券会社の利益を維持する目的があるからこそ、高めの料金設定になっているのでしょうね。

日経新聞

そのため、証券会社や銀行は積極的にファンドラップを売り出しており、窓口に行くと必ずと言っていいほど営業を受けるのです。

自分の資産を預けるわけですから、金融機関の提案がどれほど魅力的に聞こえても、サービス内容を人に説明できる程度に理解し、自分の投資目的とリスク許容度に合っているかをしっかり見極めることが大切だと思います。

おまけ −情報の非対称性について−

ファンドラップの歴史を振り返ると、このサービスは「情報の非対称性」を活用したビジネスモデルの一つだと考えられます。

情報の非対称性とは、ある取引の当事者の一方が、もう一方よりも多くの情報を持っている状態を指します。

簡単に言えば、情報を十分に持っていない人、いわゆる情報弱者をターゲットにする形で機能している側面があるということです。

これは投資だけでなく、あらゆる分野で起こり得る現象です。

インターネットの普及により、私たちは膨大な情報にアクセスできるようになりました。

この変化は、手数料が低くシンプルな商品(例:インデックスファンド)への関心を高め、従来型の証券会社が収益を上げづらい状況を生み出しました。

一方で、すべての人が情報にアクセスできるわけではありません。

特にインターネットに不慣れな高齢者層などの市場では、ファンドラップのような「すべてお任せ型」のサービスが新たな収益源として利用されているのが現状です。

例えば、携帯電話料金での事例を考えてみましょう。

最近ではahamoのような低価格プランが普及していますが、これをうまく利用するには仕組みへの理解が必要です。

その一方で、仕組みを十分に理解していない人々は従来の高額プランを使い続けることが多く、結果として高いコストを支払うことになります。

この状況は、特にリテラシーが低い層にとって深刻です。

以下に、日本の高齢者の割合を示した人口ピラミッドがありますが、日本では60歳以上の人口が30%を超えているため、高齢者層に特化したファンドラップサービスは今後も安定した収益をもたらすと考えられています。

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インターネットを駆使して情報収集を行える人々は、低コストで合理的な選択肢(インデックスファンドなど)を選びます。

一方で、情報収集が苦手な高齢者は、どうしても高コストなサービスに頼らざるを得ません。

将来的には、ファンドラップやロボアドバイザーといった「選んでもらうサービス」がさらに増えるでしょう。

便利になる一方で、選択肢が増えすぎることで「どのファンドラップが自分に合っているのか」を判断できないという新たな問題も起きるかもしれません。

その結果、最適なファンドラップを提案する「新しい中間サービス」が登場し、そのターゲットも再び高齢者層に向けられる可能性が高いでしょう。

こうした状況を放置すると、情報格差による負担が拡大していく恐れがあります。

投太郎
投太郎

情報格差によって不利な立場に置かれる人々が増えていることは看過できない深刻な社会問題だと思うのは私だけでしょうか?

技術が発展する中で、その恩恵を受けられない人々が取り残されないようにするためには、丁寧なサポートが欠かせません。

ファンドラップのようなサービスがより透明性を持ち、誰もが安心して利用できる社会が実現することを願っています。

1-3 ファンドラップのメリットデメリット

ここまで読んでいただければ、ある程度お分かりかと思いますが、ファンドラップは、投資初心者で忙しくて投資に時間を割けない人に向いているのかもしれません。

しかし、私個人的には、そういう人は、黙ってヘッジファンドや全世界株式のインデックスファンドを購入すればいいだけだと考えているので、手数料が二重に取られるファンドラップは、存在意義が全くの不明です。

不明ですが、一応世間で言われているメリットとデメリットを集めてきましたので、参考までにご覧ください。

メリット

  • 専門家に分散投資を任せられる
  • 個々の投資目標やリスク許容度に合わせたカスタマイズが可能
  • オンラインプラットフォーム等で簡単にポートフォリオの状況を確認できる
  • 投資に関する知識や経験がなくても始められる

デメリット

  • 運用成績の保証はない
  • ファンドラップ自体の手数料が高い上に、投資信託への手数料が二重に取られる
  • 解約手数料がかかることがある
  • 投資判断を専門家に任せるため、コントロールが限定される

2 ファンドラップがおすすめできない理由

ここからは、ファンドラップがおすすめできない理由を具体的なデータをもとに説明していきます。

さらに、実際に利用者が感じている声も集めましたので、リアルな意見もぜひ参考にしてみてください。

2-1 金融庁等の調査データから見るファンドラップの実績

各ファンドラップの運用成績について、金融庁がデータを公表しています。

ロボアドバイザーを抜いた、ファンドラップの手数料控除後の平均利回りを以下に抽出してみました。

ラップ口座・商品名手数料控除後の過去5年間の平均利回り
東海東京ファンドラップ2.8%
ダイワファンドラップ1.8%
三井住友信託ファンドラップ (SMA)1.6%
野村SMA 1.2%
水戸ファンドラップ 1.2%
いちよしファンドラップドリーム・コレクション1.5%
SMBCファンドラップ1.0%
アイザワファンドラップ1.1%
日興ファンドラップ1.1%
ダイワファンドラッププレミアム1.0%
野村ファンドラップ0.9%
Mizuho Fund Wrap0.9%
みずほファンドラップ0.7%
ウェルス・スクエアファンドラップ0.5%
りそなファンドラップ-0.9%
ダイワSMA-3.7%
MUFGファンドラップ-2.3%
ファンドラップの手数料控除後の平均利回り

年率2.8%の東海東京ファンドラップの利回りがトップとなっています。

この利率は果たして高いのでしょうか。

銀行金利と比較すると、非常に高く感じられます。

ダイヤモンド・オンラインでは、2024年1月現在の定期預金、最も利率が高いのは、「auじぶん銀行」で0.35%となっています。

しかし、上記の通り、りそなファンドラップをはじめ、赤線を引いた3社は、利回りがマイナスであり、元本割れをしているということです。

銀行に元本割れのリスクはないため、そういうリスクを考慮するといかがなものでしょうか。

投太郎
投太郎

もしかしたら銀行に預けたままの方が賢い選択かもしれませんね。

また、上記は平均利回りを見てきましたが、平均ではなく、実際にはどれほどの顧客が元本割れという辛酸をなめているのかも見てみましょう。

下記はファンドラップの運用益がプラスの顧客割合を示した表になります。

ファンドラップの運用えきがプラスの顧客割合

(引用:日本経済新聞「ファンドラップの残高拡大 「成績プラス」割合に差」)

全ての顧客が元本割れをしていないのは2021年の野村證券のみでした。

2020年はコロナショックがあったせいか、ほとんどの顧客が損失を被っています。

株式市場が通常に戻り、どちらかというと強気相場だった2022年に至っても、みずほ証券や関西みらい銀行が提供するファンドラップでは、顧客の半数以上が、三菱UFJ信託銀行のファンドラップに限っては、顧客の80%が損失を被っているようです。

このような状況を見て、それでもファンドラップへの投資をしたいと思われるでしょうか。

それでは次に、他の商品と比較して検討していきたいと思います。

2-2 その他投資商品との比較① −インデックスファンド−

インデックスファンドはそのコストの安さやリスク分散の面で圧倒的な優位性を持つ商品として注目されています。

まず、インデックスファンドとは何か、その基本的な特徴を確認しつつ、具体的なデータを基に比較していきましょう。

インデックスファンドは、特定の株式市場指数(インデックス)のパフォーマンスを模倣(トラッキング)するように設計された投資信託です。

例えば、「全世界株式のインデックスファンド」とは、世界中の株式市場の動きを反映するファンドです。

他にも、「日経平均株価」や「S&P 500」などの有名な株価指数がありますが、これらの指数に含まれる株式と同じ割合で株式を保有することにより、その指数のパフォーマンスを再現しようとするものです。

全世界株式インデックスファンドは、地理的分散低コスト長期的な成長性という面で非常に優れており、初心者から経験豊富な投資家まで広く支持されています。

ファンドの能力を正しく評価するには、短期間の成績ではなく、長期間にわたるパフォーマンスを検証することが重要です。

そのため、私は5年間の運用実績を参考にしています。

例えば、「三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を見てみましょう。

以下に直近5年間のチャートと利回りを示します。

(引用:SBI証券)

コロナショックのような金融危機の際には大きく下げていますが、全体的には右肩上がりのチャートを描いており、直近5年で利回りは17.7%であり、平均利回りは3.34%です。

投太郎
投太郎

ファンドラップとは違い、この期間に損失を被った投資家はゼロで、100%の投資家が利益がでているということです。

さらに、信託報酬は0.05775%以内となっており、ほぼ無視できるような手数料しかかかりません。

しかも、設定来からの利回りは108.99%で、資産が約2.1倍になっていることがわかります。

設定来とは、ファンドの運用がスタートした(設定された)時点から評価時点までの全期間を指します。

このような結果を踏まえると、元本割れのリスクが高いファンドラップよりも、明確な利益を生み出す可能性のあるインデックスファンドに投資することが、より確かな資産形成を目指せる気がしてきます。

ここで、両者を様々な面で比較する表を作成しましたので、判断材料としてご活用いただければと思います。

比較項目ファンドラップ全世界株のインデックスファンド
直近5年間
平均利回り
2.8%(東海東京ファンドラップ)3.34%
コスト1.5%前後0.05775%以内
分散投資
の効果
商品により、選ぶ商品によっては高い全世界株への分散なので必然的に高い
投資家への
サポート
投資先の選定まで一任できる特になし
最低投資額300万円以上の商品が多い100円から購入可能
元本割れして
いる投資家
ファンドによるがほぼ100%存在する長期で保有している場合はいない
ファンドラップと全世界株インデックスファンドの比較

これらを踏まえると、ファンドラップに手を出すよりも、インデックスファンドを選んだ方が資産形成の成功確率が高いのではないでしょうか?

特にeMAXIS Slim 全世界株式のような商品は、初心者でも始めやすく、コストを抑えながら長期的な成長を期待できる優れた選択肢だと思います。

2-3 その他投資商品との比較② −ヘッジファンド−

ヘッジファンドは、ファンドマネージャーに資産を預け、彼らがさまざまな戦略を駆使して資産を運用する投資商品です。

仕組み自体はファンドラップと似ていますが、実は本質的な違いが多く存在します。

(引用:Media Argo「ヘッジファンドとは?魅力と注意点を専門家が簡単にわかりやすく解説」)

ヘッジファンドは、多くの投資家から資金を集め、その資金をプロのファンドマネージャーが株や債券などへ投資し、得られた利益を投資家に分配するという点で、ファンドラップに似通った性質をもっています。

しかし、これらの商品には本質的な違いが存在しています。

ヘッジファンドは、株式投資、世界債券、金、世界リート、etc、その時最善と思われるあらゆる投資先が候補となり、自由に投資先を選び、レバレッジ(借入金)の使用やショートセリングなど、ファンドラップや投資信託にはない戦略を取り入れることが特徴です。

この柔軟性により、市場の動きに関わらず安定した収益を目指すことができます。

例えば、リーマンショックやコロナショックのような市場の混乱期でも、優れたヘッジファンドは利益を上げることが報告されています。

ヘッジファンドの成績は幅広いため、一概に全てが優れているわけではないものの、中には年間で赤字を出したことがなく、平均利回り10%以上のパフォーマンスを出し続けている卓越したファンドも複数存在します。

私が独自に収集した国内外の著名ヘッジファンドの平均パフォーマンスを見てみましょう。

以下に直近5年間のチャートと利回りを示します。

1か月6か月1年3年5年
0.81%8.21%11.32%37.2%100.06%
国内外の著名ヘッジファンドの平均パフォーマンス

上記のように、コロナショック(2020年)のタイミングでも、ヘッジファンドは比較的安定したパフォーマンスを発揮しています。

直近5年で利回りは100.06%であり、平均利回りは驚異の14.88%です。

株式市場の下落局面においても安定したパフォーマンスを提供してくれる投資商品は大変貴重です。

このような収益を実現できるのは、ヘッジファンドの柔軟性と卓越した運用力によるものです。

投太郎
投太郎

ただし、このような素晴らしい成績をたたき出しているのは一部の優秀なヘッジファンドのみであるということは、気をつけてくださいね。

ヘッジファンドについて詳しく知りたい方は以下記事も見てみてください。

【ヘッジファンド徹底解説】ヘッジファンド100社以上を調査した現役法律事務員が語ります!

以下に、ファンドラップとヘッジファンドをいくつかの項目で比較してみましたので、参考にしてみてください。

比較項目ファンドラップヘッジファンド
直近5年間
平均利回り
2.8%(東海東京ファンドラップ)14.88%
コスト運用益からすると非常に高い比較的高い(運用成績に応じたパフォーマンスフィーと管理手数料)
ファンド
マネージャー
のレベル
一般的なキャリアパス金融業界のエリート
分散投資
の効果
商品によって異なる金融危機でも成果を上げる可能性
対象投資家一般投資家向け資産額が一定基準以上の認定投資家や機関投資家向け
投資の流動性比較的高い(10日前後で解約可能)低い(解約制限、ロックアップ期間がある場合が多い)
最低投資額300万円以上の商品が多い1000万円~1億円
運用の透明性高い(定期的なレポートや開示資料が公開)低い(プライベートな運用のため、情報開示が限定的)
ファンドラップとヘッジファンドの比較

ヘッジファンドは、その収益性の高さとリスク管理の巧みさで、ファンドラップとは一線を画する投資商品です。

ただし、最低投資額の高さ流動性の低さといったハードルがあり、万人向けではありません

それでも、資産規模がある程度大きい投資家にとっては、ヘッジファンドは非常に魅力的な選択肢と言えると思います。

おまけ インデックスとヘッジファンドの比較

世界株のインデックスファンドとヘッジファンドの実績も比較してみましょうか。

以下の表は、1990年から2009年の20年間で、MSCI World Indexという世界株のイデックスファンドと、複数のヘッジファンドとのリターンや損失を比較した表です。

(引用:統計数理研究所「ヘッジファンド運用戦略の事後評価とリスク計測モデルの検討」)

データによると、MSCI World Index(世界株のインデックスファンド)の年間リターンは3.68%であったのに対し、一部のヘッジファンドは年間14%以上のリターンを達成しています。

また、最大損失率(ドローダウン率)も、世界株が約55%であったのに対して、ヘッジファンドは3%程度に抑えられていたということです。

このように、実際の長期のリターンとリスクのデータを見ても、一部の優秀なヘッジファンドは世界株に比べ、リターンが高く、リスクも抑えられていることが分かります。

これは、ヘッジファンドが多岐にわたる運用戦略を駆使してリスクを分散するからです。

さらに、2012年7月から2023年12月までのS&P 500、MSCI世界株式指数、ヘッジファンドのパフォーマンス比較では、特に市場の不安定な時期においても、ヘッジファンドは安定した結果を示しています。

以下にパフォーマンスを比較した表を示します。

チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)のタイミングには赤い縦線を引いています。

上記のように、チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)のタイミングでも、ヘッジファンドは比較的安定したパフォーマンスを発揮しています。

ここまでの比較を見ていただくと、ヘッジファンドの優位性が明確だと思います。

こうした観点からすると、ヘッジファンドはインデックスファンドと比較しても収益性やリスク管理の面で大きく優れており、ファンドラップと比較するまでもない投資商品と言えるでしょう。

2-4 世の中の声

Yahoo知恵袋で、ファンドラップに対して含み損を抱えて頭を悩ませている方の質問が多くありました。

以下にその一つを紹介させていただきます。

(引用:Yahoo知恵袋)

X(旧twitter)でも、多くの口コミが挙げられていましたので、いくつか紹介させていただきます。

ちなみに、ファンドラップに投資してよかったという声も探してみましたが、業者や宣伝以外の生の声は見つけられませんでした。

3 投太郎のポートフォリオ

何度も言いますが、私はファンドラップを全くお勧めしていません。

私のスタンスは、手数料がかからないインデックスファンドをNISA枠を活用しながら投資し、余裕資金が1,000万円を超える場合にはヘッジファンドへ投資するというものです。

今回は、実際に私がどのようなポートフォリオを組んでいるのかをご紹介します。

私の2024年現在の不動産を除く流動資産は約1億3000万円です。

投太郎
投太郎

約7000万円をBMキャピタル、約4000万円は全世界株式市場全体のインデックスファンド、1000万円は趣味で私が好きな企業の株、残り1000万円は現金で保有しています!

以下に円グラフで示します。

少しでも参考になれば幸いです。

4 おわりに

ここまで説明してきた通り、ファンドラップは優れた商品とは言い難いという結論に至ります。

手数料の高さやリターンの低さに加え、顧客目線ではなく販売側の利益が優先されているケースが多いことがその理由です。

実際のところ、投資信託や株式、不動産投資といった一般的な投資手段では、成功する人よりも失敗する人が多いのが現実です。

日本の個人投資家の約7割が投資で負けているというデータもあります。

金融庁が2020年9月18日に公表した「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」によれば、同年3月末時点で投資信託を利用している顧客のうち、運用損益がプラスとなっているのはわずか約3割にとどまっています。

この現状の背景には、銀行や証券会社が自社の利益を優先して商品を販売している実態があります。

銀行員や証券アナリストには、自社の商品を売ることでインセンティブが発生する仕組みがあり、投資家の利益が最優先に考慮されているとは限りません。

ですので、やはりインデックス投資をすることが王道であり、間違いない選択だと私は考えているのです。

私自身はインデックス投資に加えてヘッジファンドへの投資も行っています。

ヘッジファンドは高い収益性とリスク管理能力が魅力ですが、正直なところ、ここまで考える必要はないと思っています。

それでもヘッジファンドに興味がある方のために、私が投資しているファンドをまとめた記事もありますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみた