こんにちは、某法律事務所にて日々投資詐欺案件に携わっています、投太郎です。
私はインデックス投資とヘッジファンド投資をメインで資産運用をしていますが、すべての人にそれをお勧めしているわけでもありません。
全ての金融商品にはメリットとデメリットが存在するため、シチュエーションによって投資する金融商品を自ら選択し、組み合わせていくべきだと考えます。
そのため、今回は金融商品に対する私見をまとめていきたいと思います。
世の中にはさまざまな投資手段がありますが、それぞれに特徴やリスクがあります。
ここでは、それぞれの選択肢を簡単に紹介し、そのメリットとデメリットを解説します。
1-1 不動産投資
不動産投資の概要
不動産投資は、マンションやアパート、オフィスビルなど不動産を購入して、そこから得られる家賃収入などで利益を得る運用方法です。
不動産投資では、投資金額に対する収益(リターン)の割合のことを「利回り」といい、1年間にどれだけのリターンを見込めるのかをパーセンテージで表します。
不動産投資の魅力は、サラリーマンでも銀行ローンを利用して投資に参入しやすい点や、物件の減価償却費を経費として計上できる節税効果にあります。
将来的にはインフレなどが原因でそのマンションの価値が上がり、その値上がり分も利益となる可能性もあります。
しかし、毎月の管理費や空室リスク、家賃滞納のリスクなど、運用コストや収入の不安定さがデメリットとして挙げられます。
また、不動産の売却は時間がかかることが多く、流動性が低いという特徴があります。
日本の場合、少子化の進行や空き家の増加が市場に影響を与える可能性があります。
特に地方では物件の需要が減少している傾向があり、これは将来の不動産市場に不確実性をもたらしています。
現在日本における空き家数は約850万戸で、都心部と地方での市場状況には大きな差があります。
都心部では一等地の物件に対する需要が高いのに対し、地方では供給過多となっている現状です。
以下に日本の空き家の推移を示します。
(引用:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性」)
ちなみに、今後VR技術の発展が進み、リモートワークなどオンラインでの交流が促進された場合、都心部の不動産需要にも影響を与える可能性があるという見方もあります。
不動産市場における将来の動向は、多くの変数に依存し予測が難しいのです。
「敗者のゲーム」という投資における不朽の名著があるのですが、そこでも素人は出を出すなと言っていますので、以下に引用します。
不動産投資も魅力的だ。
世界の大富豪の多くは、 不動産投資で財を成してきた。
課税上の優遇措置を最大限に活用したからだ。
そして、彼らの十分な資金調達能力に裏付けられた巧みな借り入れ、強力な交渉力、忍耐と決断と実行力の賜物とも言えるだろう。
さらに、不動産投資で成功するには、 その地域の詳細な事情や個別の投資案件についても、 テナント名や契約条件、改築による将来の賃料引き上げの可能性、有力なテナントの誘致能力など、高度な専門知識が必要だ。全力投球が求められる。
こうした条件をすべて備えた人はほとんどいないだろう。
とても片手間でできるものではない。
だからこそ、幸運に恵まれれば、不動産投資のプロは高い運用成績をあげられるのだ。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
なお、以下記事でワンルームマンション投資についてまとめているので、興味がある方はみてみてください。
【注意喚起】ワンルームマンション投資の実態!潜むリスクについても実例を交えて法律事務員が徹底的に解説します!不動産投資の評価まとめ
メリット
- 港区や千代田区といった一等地であれば、安定的な家賃収入が見込める
- 将来的な値上がりで売却益が得られる可能性があり、インフレ対策として強い
- ローンが組めるため、自身に資金がない場合でも取り組みやすい
デメリット
- 物件の維持管理にはコストがかかり、空室リスクや家賃の滞納などに備える必要がある
- 動性が低く、売却する際に時間がかかることがある
- 素人では物件の価値を正確に把握することが難しい
- 日本の現状では空き家が多く、少子化の進行により不動産価格が将来的に下落する可能性がある
- 将来のことが不確定すぎる
非推奨です。素人は手を出さない方がいいと思います。
特にワンルームマンションは絶対にやめましょう。
1-2 株式投資(個別株)
株式投資の概要
個別企業への投資、これが最も一般的な株式投資ではないでしょうか。
これは、四季報を含む様々な情報源を駆使して、市場の流れ、企業の実績、そして経済全体の状況を精査し、特定の企業の株式を購入するといった最も伝統的な手法です。
また、NISAのような制度を利用することで、税金の負担を軽減し、資産を効率的に増やすことができます。
NISAについては後述しています。
適切な企業の株を購入できれば、相当な額を非課税で得ることも可能です。
たとえば、イーロン・マスクが率いるテスラの株を初期に購入することができていれば、莫大な利益を手にすることができました。
上場当時にNISA枠で100万円購入していたとすれば、2021年11月につけた最高値414ドルで売却できた場合、約1億2630万円となり、非課税で1億2530万円の利益を得ることができた計算になります。
しかし、企業の業績が低迷すれば、株価は下落し、損失を被るリスクもあります。
むしろ損することの方が多いのが現状です。
なぜなら、個々の株式を選ぶ際には、企業の詳細な分析が求められるので、初心者にとっては、適切な株を見極めるのは困難で、ギャンブルになってしまうことがほとんどだからです。
それどころか、それ自体を生業としているプロのファンドマネージャーたちですら、勝てている人が少ない現状を鑑みると、我々素人が手を出すのは現実的ではありません。
実際に、米国の大手格付け会社であるスタンダード&プアーズ(S&P)社の調査によると、アクティブ運用とインデックス運用を比較したデータを発表しています。
それによると、毎年約3分の1のアクティブ・マネジャーしかインデックスに勝つことができていないそうです。
以下データはS&P 500を下回ったアクティブファンドのパーセンテージを示したもので、最新の2023年度も60%のアクティブファンドが下回っています。
(引用:TMO「Active Management Vs. Index-Based Investing: An Update on Performance」)
さらに、一度勝利したアクティブ・マネジャーが翌年も成功する確率は非常に低く、長期間にわたって安定してインデックスを上回るマネジャーはほとんどいないとのこと。
つまり、ほとんどのプロのマネジャーがインデックス投資のリターンを下回っており、勝っているマネジャーのパフォーマンスも時間が経つにつれて確実に低下します。
どうしてこのような状況になっているのかというと、「敗者のゲーム」という投資における不朽の名著を読めば理由がわかります。
100年前、株取引の90%は一般の人たちによるものだった。
こうした状況では、プロの投資家は早く情報を入手できるので有利と考えられ、インデックス投資よりよい結果を残すこともできた。
しかし時がたつにつれて、ほとんどの人が退職金制度を運営する機関で投資信託や株価指数連動型上場投信 に投資するようになり、 現在で90%以上の取引が、プロの機関投資家によって行われるようになった。
そうなると、どんなに敏腕のプロも市場に勝つことはとても難しい。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
投資ではなく、本当に応援したい企業がある場合にのみ個別株を購入することをお勧めします。
株式投資(個別株)の総合評価
メリット
- 爆益が望める
- NISAで免税処置を受けられる
- 株主優待などの特典もある
デメリット
- 株価の変動リスクが高い
- 銘柄選択に研究が必要、相当の努力家か天才じゃないと難しい
非推奨です。自身で企業分析をできる人だけやられることをお勧めします。
資金に余裕があったら、自分が好きな会社の株を購入するなどの趣味的な感覚がいいと思います。
1-3 投資信託
投資信託の概要
投資信託は、多数の投資家から集めた資金を一つのファンドにまとめ、株式や債券などの様々な投資商品への投資を行うものです。
選んだ投資信託の具体的な運用は、その信託を管理するプロフェッショナルが行うため、投資家は日々の資産選定や取引の細部に関与することはありません。
この運用は、ファンドマネージャーという専門家が担当し、効率的な資産の増加を目指します。
インデックス投資も投資信託に当たります。
適切にインデックスファンドを選択することが出来ればいいのですが、日本にはなんと約6000本の投資信託が存在するのです。
日本には約4000社の上場企業が存在しますが、それを2000も上回るとはいったいどういうことなのでしょうか?
そのため、日本市場にあふれる投資信託を研究していたら、それは個別株を研究する苦労と同様、もしくはそれ以上となってしまいます。
この中から最適な投資信託を選ぶのは非常に困難であると言わざるを得ません。
(引用:投資信託協会「投資信託の主要統計(2023年9月)」8ページ)
実際に日本の個人投資家の約7割は投資信託で負けていることが明らかになっています。
2020年9月18日に金融庁が公表した「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」によると、同年3月末時点で、投資信託での運用において、運用損益がプラスとなっている顧客の割合は3割のみであり 、7割は損しているというのです。
(引用:金融庁「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」令和2年9月18日)
このような事実から鑑みるに、とにかく全世界に分散投資するオールカントリー型のインデックスファンドを選ぶのが賢明と言えるでしょう。
米国のS&P 500を追跡するVOOや、全米国株をカバーするVTIのようなインデックスファンドも、比較的低リスクで安定したリターンを得られるので、おすすめです。
さらにNISA枠の中なら非課税対象です。
インデックス投資について、「敗者のゲーム」で言及されているものが、とても印象的なので以下に紹介しておきます。
投資で長期的に成功したいなら、答えはシンプルだ。
実行が簡単なインデックス・ファンドを買うこと。
「平均なんて嫌だ。市場に勝ちたい」 と思うかもしれない。
しかし、個人がプロに勝とうとするなんて、100年早い。
インデックス・ファンドとは、 いわば投資の 「ドリームチーム」 を結集したようなものだ。
毎日、それも一日中、あなたのために投資仲間として働いてくれるドリームチームをつくるとしたら、どんなメンバーがふさわしいだろうか?
ウォーレン・パフェットはまず入れるべきだろう。
ジョージ・ソロスにも入ってもらおう。
フィデリティのすべてのアナリストとファンド・マネジャー、キャピタル・グループのすべてのプロたちも。
アメリカだけでなく世界中のヘッジファンド・マネジャーも入れてしまおう。
仮に、 このような夢が現実となり、世界中のポートフォリオ・マネジャーとそのアナリストが、あなたのために働いてくれるとしよう。
あなたはただ、彼らの提言を受け入れていればいい。
こうしたトッププロの投資判断を一つにまとめてしまうには、インデックスで投資すること。
というのも、インデックス・ファンドは市場をそのまま反映しているからだ 投資のプロが席巻している今日の市場は、まさしくプロの動きの総和を示す。彼らは情報を得ると、素早く株価に反映させる。
つまり、インデックス投資をすれば、ただちに専門家のコンセンサスを得られるということだ。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
ただし、インデックスファンドであっても、景気が良く、株の価格が上り調子であれば、右肩上がりには間違いありませんが、リーマンショックやコロナショックのように、景気が後退するような時には、価格の下落の煽りを受けずにはいられません。
前述したように、長期的な目線で何十年も保有する覚悟で臨む必要があります。
投資信託の総合評価
メリット
- 少額から分散投資ができる
- 運用は専門家が行うのでほったらかしでいい
- 長期で安定的な利回りが期待できる
デメリット
- 爆益は滅多に望めない
- 商品が多くて選びにくく、間違った銘柄を選ぶと損になる可能性がたかい
インデックスファンドであれば推奨します。
私もオールカントリーのインデックスにある程度の資産を投入しています。
1-4 REIT(不動産投資信託)
REITの概要
REITは、投資信託の不動産バージョンです。
つまり、多数の投資家から集められた資金をもとに、不動産分野の専門家が資金の管理と運用を担います。
これにより、個人投資家も質の高い不動産投資へのアクセスが可能になります。
(引用:SMBC「リート(REIT)って何?」)
ただし、個別の不動産投資が持つ税金の優遇措置や融資を利用したレバレッジ効果は、REITを通じては得られません。
さらに、先述した不動産投資と同様、日本で進行中の空き家問題や少子化やバーチャルリアリティーの進展など、あらゆる社会的要因が将来の不動産価値にマイナスの影響を与える可能性も考慮する必要があります。
REITの総合評価
メリット
- 少額から不動産投資ができる
- 運用は専門家が行うのでほったらかしでいい
- 不動産投資だが流動性が高い
デメリット
- 節税や融資といった不動産投資の恩恵を受けられない
- 現在の日本は空き家が多いうえに、将来的には少子化が見込まれるため、価格が下がる可能性が見込める
- 将来のことが不確定すぎる
非推奨です。
今後の市場を鑑みると、REITを買うなら、投資信託のインデックスファンドを買います。
1-5 債券
債券の概要
債券とは、企業や政府がお金を借りるために発行する有価証券のことです。
(引用:岡三証券「債券とは?」)
債券を発行する企業や政府は、年間1%の金利を保証するから貸してくれといった感じで、条件を明確に設定します。
起業や政府は、満期までその条件を履行し、満期になったら、額面金額を払い戻すという仕組みです。
また、債券は有価証券ですから、満期を待たずとも市場で売却することも可能ですが、債券の価格は変動するため、差益損が生じる可能性がありますし、流動性が抜群に高いわけでもありません。
それではここで、国債について考えてみましょう。
これは国がお金を借りるために発行する債券のことを指しています。
国債は2年ものから40年ものまでいろんな種類がありますが、例えば10年もので考えてみます。
債券には国が発行する国債だけではなく、地方公共団体が発行する地方債、楽天などの一般企業が発行する社債があります。次に、これらの違いを見ていきましょう。
債券は、発行体が破綻しない限り履行されるものなので、国債はその発行した国が沈没しない限り、元本が払われなくなることはないため、信用力は非常に高いですが、その代わり、利率が低い場合があります。
逆に、社債は、会社が倒産してしまえば、履行できなくなり、紙くずになる可能性もあるため、利回りが高かったりすることが一般的です。
以下に、わかりやすい図を見つけたので貼っておきます。
(引用:楽天証券「債券のデメリット、リスクは?~債券入門講座06」)
かなり安定している債券ですが、インフレには非常に弱いです。
いまの100万円の価値が10年後には50万円程度の価値になってしまう可能性もあるのですから。
そう考えると、やはりインデックス運用には遠く及びません。
「敗者のゲーム」でも債権について言及しているので、以下に引用しておきます。
通常株価が上がると、債券は下がる。
そして、逆も起こると言われている。
市場が乱高下する時に自分のプランを変えないことは難しいが、債券は安定しているので、市場が荒れている時も安心して、計画どおりでいられる、 と言う人がいる。
株式60 に対して債券40の割合で行う投資スタイルは広い年齡層に受け入れられ、また、「年齡とともに債券の比率を上げる」 ことが 「賢い」 投資法として推奨された。
つまり、30歳では30%を、40歳では40 %を、そして90歳では90 %を債券投資に充てるというものだ。
しかし、立ち止まって考えてみよう。
これまでの株式市場の動きを学び、今後も同じような動きになるだろうと理解することだ。
そうすれば、市場が私たちに人間的な過剰反応を起こさせようとしても、しつかり備えることができる。
多くの人にとって、債券を持っことは、過剰な心配を軽減するためのコストでしかない。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
債券の総合評価
メリット
- 元本保証がある
- 日本国債であればインフレリスク以外のリスクががほぼない
- 米国債券は利回りが高い
デメリット
- 利回りが低い
- 社債には倒産のリスクがある
- 米国債には為替リスクがある
- インフレに弱い
非推奨です。
「敗者のゲーム」の通り、インデックスで実現できる利益を削ってしまうコストでしかないからです。
1-6 外貨建MMF
外貨建MMFの概要
MMFとはマネー・マネージメント・ファンドの略で、債券の投資信託だと考えてもらえればわかりやすいでしょう。
短期の国債や地方債、社債などで運用されており、比較的安全性が高いと言われています。
債権と違い、元本保証がないですが、過去の運用実績では一度も元本割れしたことがなく、実質元本保証と理解しても問題ないでしょう。
さらに、為替差益に対しては非課税です。
MMFは非常に流動性が高く、2、3日あれば現金化できるのもメリットです。
なお、債券同様インフレには弱く、ドルで持つために、為替リスクがあることも重々承知しておく必要があります。
特定の通貨建てMMF、例えばトルコリラ建てのようなものは、政治的リスクが高いため、利回りが高くても慎重な判断が求められます。
外貨建MMFの総合評価
メリット
- 実質元本保証といっていい
- リスクが少ない
- 流動性が非常に高い
- 為替差益に対しては非課税
デメリット
- 利回りが低い
- インフレに弱い
- トルコリラ建てMMFなどは政治的リスクがある
投資先としては非推奨ですが、流動性が非常に高く利回りも悪くないので、すぐに動かせる資産として米ドル建てMMFを銀行預金代わりに使うのはありです。
1-7 外貨預金
外貨預金の概要
外貨預金とは、ドルやユーロなど外国通貨での預金です。
円を外貨に換えて外貨建ての普通預金口座に預けることで、円安の際には為替差益の可能性があります。
また、日本の銀行に比べて利息が高い場合が多く、特に1年定期などの商品では5%を超える利回りを提供するものもあります。
また、預けている期間の利息も日本より高い銀行は多くあります。
しかし、銀行が破綻した場合にはその限りではありません。
日本のペイオフ制度では、1000万円まで補償されますが、外貨預金はこの対象外です。
さらに、外貨預金では、利息に加えて為替差益も課税対象となります。
インフレ対策としての効果も期待できません。
外貨預金の総合評価
メリット
- 日本での銀行預金より高い利息を得られる
- 元本保証
- 普通預金であれば流動性は非常に高い
デメリット
- ペイオフの対象外
- 為替差益についても課税の対象
- 為替リスクがある
- インフレに弱い
非推奨です。
しかし、すぐに動かせる資産として、米ドルで普通預金口座に預けておく分にはありかもしれませんが、それならMMFの方がおすすめです。
1-8 ファンドラップ及びロボアドバイザー
ファンドラップ、ロボアドバイザーの概要
ファンドラップとは、投資の専門家に資産運用を一任するサービスです。
一般的な投資では、個別の金融商品を自分で選んで購入しますが、ファンドラップは、証券会社に対して資産の運用を全面的に任せることができるということです。
具体的には、投資家が自分の投資に関する希望やリスクの許容度を伝え、その情報を基に専門家が数ある投資信託の中から、要望に見合った商品を選んで資産を運用してくれます。
要するに、投資信託は投資先の企業を選び、ファンドラップは投資先の投資信託を選ぶという関係性です。
ロボアドバイザーは、ファンドラップとほぼ同じ構造で、人間の投資専門家の代わりにAIが投資の管理を担っています。
巷では手間をかけずに分散投資ができる優れものという情報があふれているようです。
それには、「アフィリエイトが儲かるから」といった裏事情があるようです。
しかし、ファイナンシャルアドバイザーやロボアドバイザーは、投資信託の銘柄を選定するだけで手数料がかかります。
それなら、インデックスファンドを買えばいいだけなので、手数料を支払わされるのは、情報弱者を狙った詐欺と言っても過言ではない商品ではないかとついつい考えてしまいます。
ファンドラップについては以下記事でまとめていますので、気になる方はそちらをご覧下さい。
【投資家への警告】ファンドラップってなに?本当にお得?現役法律事務員が明かすリアルな実態!ファンドラップ及びロボアドバイザーの総合評価
メリット
- 専門家に分散投資を任せられる
- 個々の投資目標やリスク許容度に合わせたカスタマイズが可能
- オンラインプラットフォーム等で簡単にポートフォリオの状況を確認できる
- 投資に関する知識や経験がなくても始められる
デメリット
- ファンドラップ自体の手数料が高い上に、投資信託への手数料が二重に取られる
- 運用成績の保証はない
- 解約手数料がかかることがある
- 投資判断を専門家に任せるため、コントロールが限定される
非推奨です。
自分でインデックスファンドを買えばいいだけ。
1-9 FX
FXの概要
FXとは、外国為替証拠金取引のことで、簡単に言うと、異なる通貨間でお金を交換し、通貨同士の価値の変動を利用して利益を得ることです。
外国為替市場は世界中で取引されており、24時間ほぼ連続して市場が開かれており、時差や時間帯に関わらず、いつでも取引が可能です。
取引量も非常に大きく、世界で一番流動性の高い金融市場となっています。
通貨の為替レートは毎日のように変動します。
例えば、日本円の価値が米ドルに対して減少していく場合、日本円を米ドルに交換しておき、日本円の価値が減少した後で、米ドルを日本円に戻すと利益を得ることができます。
また、預けた資金の何倍もの金額を取引できるレバレッジ効果があるので、少ない金額でも爆益が見込めますが、同時に資産を大きく失うリスクも伴います。
例えば、10倍のレバレッジを利用している場合、10%の価値下落が起きると元本の100%を失うことになります。
これは、レバレッジが増幅することによって、小さな市場の変動が大きな損失につながる可能性があることを意味します。
価値の変動は予測が難しく、専門的な知識や情報を持っていたとしても、予想外の動きをすることはざらな世界で、損失を被る可能性は非常に高いと言えるでしょう。
投資というよりはギャンブルだと考えてもらうといいのではないでしょうか。
FXの総合評価
メリット
- レバレッジを利用することで、資産以上の取引が可能
- いつでも取引が可能
デメリット
- 価格変動が激しく、損失を被る可能性が高い
- 専門的な知識や情報を持っていないと難しい
非推奨ですがギャンブルだと理解したうえで、少額だけやってみるのは楽しいのかもしれません。
1-10 仮想通貨
仮想通貨の概要
仮想通貨は、インターネット上のみで利用できるデジタルの通貨のようなもので、様々な種類の仮想通貨があり、2024年現在、約15,000種類ほどあると言われています。
有名なコインとしてはBTC(ビットコイン)というものがあります。
仮想通貨は、すべて「ブロックチェーン」という技術を利用しており、この技術は「インターネット以来の技術革新」と表現されるほどの可能性を秘めています。
(引用:CoinDesk Japan株式会社「ブロックチェーン(Blockchain)の基礎知識 3つのメリット・デメリットと活用事例について」)
ブロックチェーンは改ざんが困難な分散型台帳技術で、暗号技術を用いて取引の信頼性を保証します。
多数のコンピュータが取引履歴を保持することで、従来は、第三者機関が取引内容を保証していましたが、ブロックチェーンでは暗号技術がその役割を果たします。
例えば、銀行という仕組み一つとっても、あなたが預金をいくら持っており、誰にいくら送金するのかなど、すべて銀行が管理しています。
その記録を銀行が証明してくれるから、あなたは資産を持っていることになるし、誰かに送金することができるのです。
すべて銀行という機関に依存しています。
ブロックチェーンは、こういった管理を行う銀行のような第三者機関は不要で、ブロックチェーンという技術によって代替してしまうという素晴らしく革新的な技術なのです。
銀行だけではなく、ありとあらゆる取引において、ブロックチェーン技術は注目されており、将来的に使われるシーンが広がる可能性があります。
先行きが不透明な部分もありますが、成長性の高さから、高い投資利益が期待できるのも確かです。
しかし、仮想通貨は法定通貨とは異なり、中央銀行などが管理・発行しているわけではないので、国から規制を受けるリスクもあります。
代表的な例として、中国は、仮想通貨を全面的に禁止しており、違法としています。
逆に、エルサルバドルのように、国の法定通貨になる場合もあったり、今後どうなるかは全く読めません。
保有していた仮想通貨が、まったくの無価値になってしまうことは日常茶飯事なので、超ハイリスク超ハイリターンと言えるでしょう。
仮想通貨の総合評価
メリット
- 中央集権型ではないので、国家に管理されることがない
- 価格変動が大きく莫大な利益が期待できる
デメリット
- 中央集権型ではなく、価値が国家に担保されていないため、暴落の可能性も全然ある
- 国家が取引自体を禁止し、それ自体が違法になるというリスクもある
- 税率がくそ高い
非推奨ですが、ギャンブルだと理解したうえで、宝くじを買う感覚で、いくらか購入してみるのはありかも?
前述の通り、私もADAコインに投資したことがあります。
1-11 銀行預金
銀行預金の概要
銀行預金は、個人や企業が銀行にお金を預けることを指します。
預金者は銀行に対して自分の資金を信託し、銀行はそれを元手に融資や投資などの金融活動を行います。
代わりに、銀行は預金者に対してある程度の利息を支払うことが一般的です。
銀行預金には主に次の種類があります。
普通預金 | 日常の支払いや小切手の発行、ATMからの引き出しなど、預金者がいつでも自由に預金を引き出せる最も基本的な形式です。 利息は他の預金形態に比べて低めです。 |
定期預金 | 一定期間、資金を銀行に預け入れることで、普通預金よりも高い利率を得られます。 ただし、契約期間中は原則として資金を引き出すことができません。 |
貯蓄預金 | 普通預金と定期預金の中間的性質を持ち、比較的高い利率でお金を貯めることができる一方で、必要に応じて資金を引き出すことも可能です。 |
銀行預金のメリットは、安全性が高いことです。
ペイオフという制度があり、銀行が倒産しても預金者の資金は1000万円まで保護されます。
しかし、利息が低いため、インフレ率が預金利率を上回る場合、実質的な購買力は時間とともに減少する可能性があります。
銀行金利は、1990年には年利6%まで上がっていますが、しかし、今は高くても0.3%であり、現代の低金利環境では、貯金だけではほとんど増えません。
例え1000万円を貯金しても、年3万円の利息しか得られません。
以下に銀行金利の推移を示します。
(引用:定期預金金利の推移(過去30年)/杉並区)
投資としての銀行預金は、リスクを避けたい人や、手元の資金を安全に保管しておきたい人に適していると言えるかもしれません。
しかし、やはりインフレ対策ができないという点では、全くお勧めできない商品ではあります。
あんまり意識していない人も多いですが、想像以上にインフレは恐ろしいものだと「敗者のゲーム」でも言及しています。
投資をする人にとって恐るべき、そしてあまりに過小評価されている共通の敵がいる。
インフレーションだ。
最近はあまりインフレが起きないので、ないものと考えがちだが、インフレの力は本当に恐ろしい。
連邦準備銀行は、現在2%のインフレ目標を掲げているが、 インフレを完全にコントロールすることはできないし、3~4%のインフレになってもおかしくない。
長い目で見ると、インフレは大きな間題であり、 日々の株式の価格変化やサイクルによる変化よりずっと深刻だ。
一般的に許容される年率2%のインフレが続けば、購買力は 年で半減する。
年率5%のインフレが続けば、購買力は14年以内に半減し、次の14年間でさらにその半分になる。
現在の平均寿命は80 歳代だから、これは重大問題だ。
引退後、インフレによる購買力の減少を埋め合わせる収人がない場合には、なおさらである。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
インフレ率 | 購買力を半減させる年数 |
---|---|
2% | 36年 |
3% | 24年 |
4% | 18年 |
5% | 14年 |
6% | 12年 |
銀行預金の総合評価
メリット
- 安全性、流動性が高い
- ATMなどで引き出せるので便利
デメリット
- 利息が低い
- 機会損失がある
- 銀行が倒産した場合、1000万円までしか保護されない
- インフレに弱い
非推奨です。
1-12 ヘッジファンド
ヘッジファンドの概要
ヘッジファンドは、専門家であるファンドマネージャーによって運用される投資方法で、投資信託とは異なり運用の自由度が高いのが特徴です。
(引用:Media Argo「ヘッジファンドとは?魅力と注意点を専門家が簡単にわかりやすく解説」)
市場の動向に応じて、株式、債券、不動産、ゴールド、為替市場など、柔軟に投資先を選定し、相場の上下にかかわらず収益を追求する戦略を取っています。
しかし、ほとんどのヘッジファンドは、結局市場に勝てていないことのが現状です。
インデックスファンドに勝てているヘッジファンドは、世界トップクラスの一部のヘッジファンドのみであると「敗者のゲーム」でもそう言及していますので、以下に引用します。
もちろん、中にはコストや課税を差し引いた後でもインデックス投資に勝てるアクテイプ運用機関も存在する。
しかし、それだけ優秀な運用機関があったなら、それはあっという間に噂になっているはずだ。
だとすれば、やはりインデックス・ファンドに投資するほうが賢明である。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
つまり、そんなすげーヘッジファンドはまず発見できないし、できたとしても投資のハードルが高すぎて、我々一般人にはどうにもできないから、おとなしくインデックス投資するのがいいよということです。
実際に、ほとんどのアクティブファンドがインデックス投資に負けているというデータがあります。
以下データはS&P 500を下回ったアクティブファンドのパーセンテージを示したもので、最新の2023年度も60%のアクティブファンドが下回っています。
10年では8割、 年では9割が市場に負けているのです。
(引用:TMO「Active Management Vs. Index-Based Investing: An Update on Performance」)
しかし、インデックス投資を上回るヘッジファンドは、リーマンショックやコロナショックといった金融危機でさえも利益を上げているというのもまた事実。
以下の表は、1990年から2009年の20年間で、MSCI World Indexという世界株のイデックスファンドと、複数のヘッジファンドとのリターンや損失を比較した表です。
(引用:統計数理研究所「ヘッジファンド運用戦略の事後評価とリスク計測モデルの検討」)
データによると、MSCI World Index(世界株のインデックスファンド)の年間リターンは3.68%であったのに対し、一部のヘッジファンドは年間14%以上のリターンを達成しています。
また、最大損失率(ドローダウン率)も、世界株が約55%であったのに対して、ヘッジファンドは3%程度に抑えられていたということです。
このように、実際の長期のリターンとリスクのデータを見ても、ヘッジファンドは世界株に比べ、リターンが高く、リスクも抑えられていることが分かります。
以下に2012年7月から2023年12月に至るまでのS&P 500(緑線)とMSCI世界株式指数(黄線)とインデックス投資を上回るヘッジファンド(青線)のパフォーマンスを比較した表を示します。
チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)のタイミングには赤い縦線を引いています。
上記のように、チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)のタイミングでも、ヘッジファンドは比較的安定したパフォーマンスを発揮しています。
すごすぎる( ゚Д゚)
通常はリスクとリターンは表裏一体であり、リスクが低ければリターンも低く、リスクが高ければリターンも大きいのが一般常識です。
しかし、超優秀なヘッジファンドであれば
預金並みの安全性で、株式以上の利益が得られる
ということなのです。
そして私はそれを体現しているのではないかと考えているのが日本のBMキャピタルというヘッジファンドです。
興味のある方は以下記事も参考にしてみてください。
【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみたBMキャピタルに投資するには、最低投資金額が1000万円とある程度高額であり、また、資金を引き出せないロックアップ期間が設定され流動性が低いといった欠点もあります。
これらの特性を理解し、インデックスとヘッジファンドをうまく使い分けることがおすすめです。
ヘッジファンドについて、もっと詳しく知りたい方は、以下記事でまとめていますので、気になる方はそちらをご覧下さい。
【ヘッジファンド徹底解説】ヘッジファンド100社以上を調査した現役法律事務員が語ります!ヘッジファンドの総合評価
メリット
- 市場に左右されない資産運用ができる
- 年利10%オーバーも現実的
- 高度なリスクヘッジが可能
デメリット
- 多少の手数料がかかる
- 最低投資金額が非常に高額
- ロックアップ期間があり流動性に欠ける
推奨です!
ただし、基本的に富裕層向けの金融商品であり、最低購入金額という概念がありますので、資金に余裕がない人はお勧めできません。
2 結論
半年分の生活費は、まず銀行の普通預金に預けておくのが安心です。
また、今後5年以内に予定されているライフイベント、例えば結婚や家の購入、子どもの教育費といった出費に備えるための資金は、安全性が高い資産で運用するのが良いですね。
具体的には、国債や国内債券、定期預金などが代表的な選択肢です。
MSCIオールカントリーワールドインデックス(MSCI ACWI)のような世界全体の株式市場に分散投資できるインデックスファンドを選ぶのも良い方法だと思います。
こういった世界株式インデックスに投資するファンドやETFは、幅広く分散投資ができるためリスクを抑えられるうえに、ETFなら流動性も高く、いつでも売却可能なのが大きなメリットです。
今のような低金利環境では、債券や定期預金よりも資産増加が期待できる点も魅力ですね。
ただし、インデックス投資でも短期的には価格変動が起こり得ます。
そのため、必要なタイミングで投資資産が元本割れしているリスクがあることは理解しておく必要があります。
このリスクを許容できるなら、「世界インデックス一本で運用する」というシンプルで効率的な選択肢は十分に価値があります。
そして、無理してヘッジファンドに投資する必要はないと思います。
超優秀なヘッジファンドは素晴らしい利益をもたらしてくれますが、その分心労などもあるので笑
詳しくは以下記事を見てみてください。
【実体験から暴くBMキャピタル】10年間の投資で見えた欠点とは?資産1億越えの投資家が実態の全貌を公開します!コストに見合っているかどうかは難しいところです笑
それでも「ちょっと気になる!」という場合には、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみた