ヘッジファンドで大損してしまうことはある?【個人投資の経験から徹底解説】


こんにちは、某法律事務所にて日々投資詐欺案件に携わっています、投太郎です。

普段はインデックス投資をおすすめすることが多いのですが、実は私も国内のヘッジファンドに投資しています。

その理由というのが、たとえばコロナショックのような大きな市場の動きがあったときに、インデックス投資はどうしても市場全体に左右されてしまいますよね。

一方で、ヘッジファンドはどんな相場でも利益を追求することを目標としています。

そのスタンスに魅力を感じて、「これなら実現できるかも」と思えるヘッジファンドに出会えたのがきっかけです。

投太郎
投太郎

とはいえ、正直なところ「絶対に大丈夫」と確信しているわけではありません笑

もちろん、ちゃんと納得した上で投資をしているので、そこまで心配はしていませんが、リスクがゼロだとは言い切れないんですよね。

そこで今回は、ヘッジファンド投資のリスクについて、私自身がどう考えているのかという視点から、「ヘッジファンドで大損してしまうパターン」を解説してみたいと思います。

個人の方がヘッジファンドに投資して、大損してしまうのは以下のようなケースが挙げられると個人的には考えています。

ヘッジファンドで大損してしまう3つのパターン

①早すぎる解約

倒産

③投資詐欺の存在

一つずつ見ていきましょう。

その1 早すぎる解約

ヘッジファンド投資の基本は長期投資です。

数ヶ月単位の市場の上下動に一喜一憂して、短期間で利益を狙うような商品ではありません。

市場は、経済ニュース、政治的な出来事、企業の業績など、数多くの要因によって毎日変動します。

こうした短期的な市場の動きを正確に予測するのは、たとえ専門家であっても非常に難しいことです。

長期投資の最大の利点は、市場の短期的なボラティリティ(価格変動)に左右されにくいことです。

一時的な変動に一喜一憂することなく、資産の長期的な成長を待つことができます。

時間を味方につけることで、リスクを抑えながら着実に資産を増やす戦略が取れるのが魅力です。

ヘッジファンドが長期投資を前提にしているため、多くのファンドでは「ロックアップ期間」と呼ばれる解約制限が設けられています。

この期間中は、投資した資金を引き出すことができません。

ロックアップ期間とは?

 

これをロックアップ期間といいます。

 

ロックアップ期間が存在する理由として、ヘッジファンドは、長期間にわたる投資や複雑な取引を行うため、短期間での資金の出し入れがあると、投資戦略が狂ってしまう可能性が高いことが挙げられます。

 

ロックアップ期間の長さは、ヘッジファンドごとに異なり、数週間から数年にわたるものまでさまざまですが、一般的なヘッジファンドのロックアップ期間は、1年以上であることがほとんどです。

 

ロックアップ期間中に解約を試みた場合、追加の手数料を請求されることもあります。

こうした制限を考慮せず、短期間で売買を繰り返すような行動を取ると、個人投資家にとって大損のリスクが高まるでしょう。

安易に短期売買に走るのではなく、信頼できるヘッジファンドを見極めて、時間をかけて投資し続ける姿勢が求められます。

その2 倒産

ヘッジファンドに投資する上で、ファンド自体が倒産してしまうリスクもゼロではありません。

かつて山一証券が破綻したように、運用会社の倒産による影響を完全に排除することは難しいのが現状です。

BMキャピタルのような「私募ファンド」は、一般の「公募ファンド」とは異なり、金融庁による厳格な規制を受けていません。

この自由度の高さは、柔軟で独自性のある投資戦略を実行できるという強みでもありますが、同時にリスク管理の面で課題となる場合もあります。

例えば、投資信託のような公募ファンドでは、「分別管理」が金融庁によって義務付けられています。

分別管理とは、投資家から預かった資産を運用会社の資産とは完全に切り離して管理する仕組みのことです。

これにより、たとえ運用会社が倒産したとしても、預けた資産は守られる仕組みになっています。

一方、私募ファンドには分別管理の義務がありません。

そのため、ファンドが万が一倒産した場合、預けた資産が目減りする可能性があります。

投太郎
投太郎

こうした倒産リスクを回避するためには、一つのヘッジファンドに資産を集中させるのではなく、インデックス投資などに分散して投資することが重要だと思います。

実際にヘッジファンドが破綻した有名な事例として、「ロングタームキャピタルマネジメント(LTCM)」の破綻について紹介します。

ロングタームキャピタルマネジメント(LTCM)の破綻

LTCMは、著名な債券トレーダーであるジョン・メリウェザー氏が設立し、ノーベル経済学賞受賞者のマイロン・ショールズ氏やロバート・マートン氏も役員として参加していた大規模で高度な技術を持つヘッジファンドでした。

1994年の設立以来、LTCMは非常に高いリターンを上げていましたが、1997年のアジア通貨危機や1998年のロシア国債の債務不履行による影響で短期間のうちに破綻に追い込まれました。

当時、LTCMは新興国国債や株式を購入しつつ、先進国国債を空売りするなどの戦略を取っていましたが、予測不能な市場の動きによって大きな損失を出しました。

LTCMの破綻は、その規模の大きさから世界の金融市場を大きく揺るがせました。

事態を沈静化させるため、当時のグリーンスパンFRB議長が利下げを実施する異例の対応を迫られるなど、金融市場全体に与えた影響は計り知れないものでした。

このような事例からも、ヘッジファンド投資においてリスク分散がいかに重要であるかがわかります。

一つのファンドや資産に依存しない運用を心がけることが大切です。

その3 投資詐欺の存在

投資の世界では、詐欺のリスクも無視できません。

近年、金融規制が厳しくなったことで詐欺事件は起きにくくなっているとはいえ、注意を怠らないことが重要です。

世の中、そううまい話はありません。

・絶対に儲かる。信じられないような利益があなたにも手に入る。

・大勢の人々が参加し、その利益を享受している。

・ほとんどリスクがない。負けることはほぼありえない。

それは大体詐欺です。

そして、詐欺は毎年増加する一方で、検挙数は毎年とどまることを知りません。

以下に投資詐欺の検挙推移を示します。

(引用:警察庁生活安全局「令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について」)

令和5年における投資詐欺の検挙数はわずか43件でしたが、実際に寄せられた相談件数は3155件にものぼり、実際の被害と比較すると検挙率は驚くほど低い状況です。

(引用:警察庁生活安全局「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について」)

しかもその内訳は、20 歳代から 65 歳以上までの各年代で大きな隔たりはなく分布しているというから驚きです。

ここでは、過去にあった米国と日本の事例を紹介します。

マドフ事件

まずは、史上最大の金融詐欺事件と言われる、いわゆる「マドフ事件」です。

この事件は1990年代にナスダック・ストック・マーケットの会長を務めるなど、市場からの信頼が厚かったバーナード・マドフ氏が起こした事件です。

被害金額も数百億ドルにのぼると見られているなど、規模という観点からも、業界の信頼という観点からも非常にインパクトの大きい事件となりました。

「マドフ事件」の仕組みは、いたって簡単なものでした。

具体的には、新しく受け入れた資金を、既存の投資家の配当に回す、いわゆる「ポンツィ・スキーム」という仕組みで、顧客を欺いていました。

表向きは複雑なデリバティブを利用した運用手法を宣伝し、裏では単なる自転車操業で、資金を回し続けるという古典的手法による詐欺事件でした。

2008年11月に、バーナード・マドフ氏は逮捕され、その後、禁固150年の判決が下されています。

AIJ事件

AIJ事件とは、AIJ投資顧問株式会社における社長、取締役が逮捕されるなどした、日本における大規模な詐欺事件です。

AIJ事件は、企業年金として集めた約1900億円を投資に回したものの、損失を拡大させてしまったことに始まります。

その後、こうした損失を隠しながら、新規投資を募集し続け、損失をさらに拡大させてしまいました。

2012年6月に社長ら関係者が逮捕され、その後、社長に懲役15年の実刑判決が下されるなど、日本の年金運用に大きな影響を与える事件となりました。

現在では、こうした事件をきっかけに、金融当局による監査や規制が厳しくなってきており、同様の事件は起きにくくなっているものと考えられます。

しかし、リスクがまったく無いとも言い切れず、投資家は自分の資産を守るために、投資するヘッジファンドの仕組みや人員構成などをしっかりと調べることが必要であります。

以下の記事では、私が法律事務員として働く中で携わってきた事業詐欺について、まとめているので、興味があれば見てみてくださいね。

【現役法律事務員の注意喚起シリーズ】事業投資詐欺の全貌を暴露!詐欺の手口を解説します。

おまけ ヘッジファンドが原因で日銀が大損することある?


ヘッジファンドって、資金力がとんでもなく大きいから、世界経済に影響を与えることがあるんですよね。

だから、「日銀みたいな中央銀行がヘッジファンドのせいで大損することなんてあるの?」って気になる人もいるんじゃないでしょうか。

じゃあ、そんなことが本当にあり得るのか、ちょっと掘り下げて考えてみましょう。

ソロスの伝説的な事例

ヘッジファンドと中央銀行がガチでぶつかった有名な話といえば、ジョージ・ソロス氏が率いるクォンタムファンドとイングランド銀行の一件です。

1992年、ソロス氏はイギリスポンドに空売りを仕掛けました。

その背景には、イギリスが欧州通貨制度(EMS)に参加していたことがあります。

この制度では、イギリスを含む国々がドイツマルクとの通貨価値を一定に保つ必要があったんですね。

でも、当時の経済状況では、イギリスがドイツと同じ金融政策を続けるのは無理がありました。

そこでソロス氏は、この矛盾に目をつけて、大規模なポンドの空売りを実行。

結果、イングランド銀行は利上げを行い、最終的にはイギリスがEMSから脱退する事態になりました。

この一件で、ソロス氏は巨額の利益を上げ、「イングランド銀行を潰した男」とまで呼ばれたんです。

ただ、この結果が必ずしも悪いことだったわけじゃありません。

EMSから離脱したイギリスは自由な金融政策を取れるようになり、その後ロンドンを国際金融の中心地として成長させるきっかけをつかんだんです。

もしかしたら、当時EMSに縛られていたら、今のロンドンの繁栄はなかったかもしれませんね。

じゃあ、日銀はどうなの?

この話を聞くと、「じゃあ日本の中央銀行である日銀が、ヘッジファンドの動きで危機に陥ることはないの?」って思いますよね。

結論から言えば、理論上は「可能性はゼロじゃない」けど、実際にはその心配はほぼないと言われています。

日銀は、質的・量的緩和政策の一環で、大量の日本国債や株式ETFを保有しています。

もし円安が進みすぎてインフレが急加速したら、金利を上げざるを得なくなるかもしれません。

この金利上昇が引き金で、株価が下がったり、長期国債の価格が低下したら、日銀が持っている資産の価値が下がりますよね。

これが大損につながる可能性もゼロではありません。

ただし、日銀の国債保有は簿価会計なので、国債を満期まで持ち続ければ「時価会計上の債務超過」とはならないんです。

それに、万が一自己資本が不足する事態になっても、政府が資金を注入してくれる仕組みになっています。

だから、破綻の心配をする必要はほぼありません。

確かに、ヘッジファンドが一国の経済に影響を与えた例はあります。

でも、日銀の場合はそう簡単にはやられません。

投太郎
投太郎

中央銀行としての仕組みや政府との連携がしっかりしているので、心配しすぎなくても大丈夫そうです!

2 今回のまとめ

今回は、ヘッジファンドに投資する際に「大損してしまうリスクはあるのか?」というテーマについてお話ししました。

結論を一言で言うと、「リスクがゼロというわけではないけど、きちんと対策をすればそのリスクは大幅に下げられる」ということです。

ヘッジファンドはリスクが高いというイメージがある一方で、ポートフォリオに組み入れることで分散効果を得たり、運用効率を高めたりする可能性があります。

投太郎
投太郎

ただ、過度に期待するのではなく、リスクをきちんと理解した上で投資することが大切ですね。

私自身も、いろいろと調べた結果「BMキャピタル」に投資を決めました。

情報収集にはかなり時間をかけたので、興味のある方は、ぜひ以下のまとめ記事も参考にしてみてください。

【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみた