私は法律事務所で働いており、様々な投資被害案件を見てきました。
年間200件近い案件に携わるのですが、うち150件ほどがこのワンルームマンション投資に関連する案件なんですよね。
その経験を通じてわかったことは、ワンルームマンション投資をしている人でも内容をほとんど理解していない人があまりにも多いということです。
ですので、このブログを通じて、注意喚起を促したいと思い至り、記事をしたためています。
ワンルームマンション投資は、まとまった資産がなくても始められることや、投資初心者でも取り組みやすいという理由で、サラリーマンを中心に広がっているようです。
「面談を受けるだけで5万円プレゼント!」などと言った不動産投資の広告を見かけない日はないほど、巷には溢れていますよね。
しかし、結論からいってしまうと、素人は絶対に手を出してはいけない投資だと私は確信しています。
不動産会社から、表面的なメリットばかりが強調されて購入してしまったが、大きな損失を被ってしまい、後戻りできない事態に陥った方が日々相談にいらっしゃってました。
ワンルームマンション投資には、いいことばかりではなく、見逃してはいけないリスクが多数潜んでいるのです。
この記事では、ワンルームマンション投資がどういうものなので、どういう勧誘をされるのか、そして実際にはどういうリスクがあるのかを私が今まで見てきたワンルームマンション投資被害の経験をもとに「基本的な仕組みから裏側に潜むリスク」まで、具体的に解説していきたいと思います。
私の知識を総動員して、包括的にまとめたため、かなり長くなってしまったのですが、興味ある方は、この記事さえ読めばワンルームマンション投資の全てがわかるといっても過言ではない内容になっています。
なお、本記事は弁護士先生に監修してもらいました。
まずはワンルームマンション投資の仕組みを簡単に説明していきます。
1-1 概要
ワンルームマンション投資とは、その名の通り、主に単身者向けの小規模なマンションの1室を購入し、その部屋を賃貸に出すことで家賃収入を得る投資手法です。
以下にわかりやすい画像があったので引用します。
(引用:syoujou.jp「ワンルームマンション投資の基本」)
主に銀行から35年前後のローンで借り入れを行い購入することが一般的で、まとまった資産がなくても始めることが出来るのがこの投資の特徴ですね。
賃貸管理については、オーナー自身が行う「自主管理」も可能ですが、普通は専門の賃貸管理会社に委託します。
そして、得られた家賃収入から賃貸管理会社に管理手数料を支払い、銀行へのローン返済も行います。
加えて、マンションの管理組合に対して支払う修繕積立金や、部屋の設備修繕・交換にかかる費用、さらには固定資産税などの税金といった諸経費が差し引かれ、残った金額がオーナーの実際の収益となるといった構造です。
1-2 ターゲット層
ワンルームマンション投資のターゲット層は、主にサラリーマンや公務員といった安定した収入源を持つ人々です。
特に、勤続年数が3年以上あり、年収が400万円以上の方は、銀行からの融資を受けやすく、不動産会社にとって絶好のターゲットとなります。
もちろん、属性によって受けられる融資の金額は違ってきますが、概ねこのように理解してくれれば問題ないかと思います。
こうした層の多くは、これまでに大規模な投資経験がなく、投資に関して十分な知識を持っていないことが多いため、不動産会社からすると、鴨が葱を背負って歩いているわけです。
ワンルームマンション投資はある程度投資を経験している人なら絶対に手を出さない投資のようです。
2 不動産会社の勧誘文句と彼らが言わないこと
それでは、実際に不動産会社からどのようなメリットを提示され、人々はワンルームマンション投資を始めてしまうのでしょうか。
私が見てきたワンルームマンション投資被害の案件たちを総合して、一般的に言われているメリット、そして隠された落とし穴たちを紹介していきます。
2-1 不動産会社はどのように勧誘するのか?
私が携わってきた投資マンションの件で、被害者たちが不動産会社から言われていたメリットについてまとめていきます。
安定した家賃収入
不動産投資の最大のメリットは、物件を貸し出すことで安定した家賃収入を得られることです。
入居者がいない場合には、もちろん家賃収入は発生しませんが、都市部のワンルームマンションは単身者向けの需要が高く、空室リスクが低いとされています。
また、もし空室リスクが気になる場合には、サブリース契約という選択肢もあります。
サブリース契約は、サブリース会社にワンルームマンションの賃貸管理を任せ、家賃の10%前後を支払います。
その代わりに、入居者がいてもいなくても、家賃の90%前後は確実にもらえる仕組みです。
以下にわかりやすい画像があったので引用します。
(引用:GRANDVANTIME「サブリース契約とは?仕組みと必ず注意すべき6つのポイント)
そのため、長期的な収益を見込め、将来的な年金の補填としても期待されます。
物件の資産価値が上がる可能性
都市部や人気エリアにあるワンルームマンションは、将来的に資産価値が上がる可能性がありますし、インフレ対策にもなります。
事実、ここ数年はマンション価格は高騰し続けています。
以下にここ数年の不動産価格の推移がわかる表を引用させていただきます。
(引用:マンションプラス「今後9割のマンションが値下がりする⁈ 高騰・下落…価格推移の分かれ目とは)
ご覧の通り、マンション価格は突出して高騰しており、このまま不動産価格が上昇し続ければ、購入時よりも高値で売却できる可能性が高く、売却益を狙うこともできるのです。
税制上の優遇措置
不動産投資においては、減価償却費やローンの利息を経費として計上できるため、所得税や住民税の負担を軽減する効果があります。
税金の話を細かくやっているとそれだけで一つの記事になってしまうので、ここでは簡潔に説明します。
通常、サラリーマンは給与所得者であり、経費の計上はできません。
経費は、その人の雇い主である会社が全て請け負っているのが普通だからです。
しかし、サラリーマンでも経費を計上する方法があるのです。
それは、不動産投資を始め、不動産事業のオーナーとなることです。
不動産投資を始めると、「不動産所得」を得ることになりますが、家賃収入以上の経費、たとえば、減価償却費やローンの利息が掛かった場合、不動産事業だけでみると、所得がマイナスだったということになりますよね?
そして、サラリーマンで給与所得がある場合、その給与所得から不動産所得で発生したマイナス分を損益通算して相殺することが出来るのです。
以下に経費計上可能な費用をまとめておきました。
経費項目 | 説明 | 発生タイミング |
---|---|---|
減価償却費 | 建物や設備などの取得価額を耐用年数にわたって分割して経費計上する。 | 毎年 |
ローン利息 | 不動産購入の際の借入金に対する利息部分。 | 毎年 |
修繕費 | 建物や設備の修繕・維持にかかる費用。 | 発生したタイミング |
管理費 | 不動産の管理業務を委託する場合の費用。 | 毎年 |
管理組合費 | マンションの管理組合に支払う管理費や修繕積立金。 | 毎年 |
固定資産税・都市計画税 | 不動産にかかる固定資産税および都市計画税。 | 毎年 |
火災保険料 | 火災や自然災害に備えるための保険料。 | 更新年ごと |
賃貸仲介手数料 | 入居者募集や契約時に支払う不動産仲介業者への手数料。 | 発生したタイミング |
広告宣伝費 | 入居者募集のための広告費用。 | 発生したタイミング |
税理士報酬 | 税務申告や会計業務を依頼する際の税理士への報酬。 | 毎年 |
修繕積立金 | マンション等で将来の修繕に備えて積み立てる費用。 | 毎年 |
賃貸借契約更新手数料 | 賃貸借契約を更新する際の手数料。 | 発生したタイミング |
セキュリティ費用 | 監視カメラやセキュリティシステムの設置・保守費用。 | 発生したタイミング |
売買仲介手数料 | 仲介会社を通している場合、購入時にMAX売買代金の3%+6万円かかる。 | 初年度 |
法人設立費用(法人の場合) | 法人で不動産を所有する場合の設立にかかる費用。 | 初年度 |
不動産取得税 | 不動産購入時に一度だけ課される税金。 | 初年度 |
融資実行手数料 | 物件購入の際に支払うローン実行手数料。 | 初年度 |
印紙税 | 不動産購入契約書に対する印紙税。 | 初年度 |
不動産登記費用 | 物件購入時にかかる登記手続きに対する費用。 | 初年度 |
雑費 | その他、投資に関連する細かな費用(不動産投資に関する情報収集のために購入した書籍やセミナー参加費、不動産視察や管理業務のためにかかる交通費や交際費など) | 発生したタイミング |
つまり、給与所得から不動産事業のマイナス分を相殺することで課税所得を下げることができるため、所得税や住民税が安くなるのです。
どれくらい安くなるのかというと、所得税は「累進課税制度」になっているため、その人の所得によって変わります。
また、住民税はおおむね所得の10%程度と考えておけばいいでしょう。
所得が減少すれば、住民税も自動的に減少するため、不動産投資を活用すれば、サラリーマンでも合法的に節税を実現できるのです。
レバレッジを活用できる
ワンルームマンション投資は、融資を受けることで自己資金の少ない投資家でも始めやすいというのが一番の特徴です。
極端な話、貯金が10万円でも、収入が安定していれば、銀行の融資を受け2000万円以上の物件に投資することが可能です。
生命保険としての役割も(団体信用生命保険)
ワンルームマンション投資は、「保険」としても機能します。
ローンを利用する際には、団体信用生命保険(団信)がセットになることが多く、オーナーが死亡や高度障害に陥った場合には、残りのローンが保険で完済される仕組みです。
その結果、家族にはローンのない資産としてマンションが残され、家賃収入などを継続して得ることができるのです。
生命保険だけでは資産形成ができませんが、不動産投資は保険の効果に加え、資産を増やす可能性もある点が魅力です。
そのため、「不動産投資を始めることで、生命保険の役割も果たせる」という素晴らしい設計をされています。
ワンルームマンション投資は、生命保険に入るよりも、上記のメリットを享受できる上に、さらに生命保険の効果もある不動産投資をやらない手はありますか?というロジックで勧誘されるのです。
2-2 不動産会社が語らないリスク
一見すると、ワンルームマンション投資はメリットばかりで、やらない理由が見当たらないように思えるかもしれません。
しかし、ここでは実際に弁護士事務所で扱ったケースをもとに、不動産会社から十分に説明されなかったリスクについて解説していきます。
※なお、すべての不動産会社がこれらのリスクを告知していないわけではなく、誠実に対応している会社ももちろん存在します。
売買価格のリスク
これは、ワンルームマンション投資だけではなく不動産投資全般に言えることですが、そもそも我々素人が、そのマンション価格が適正価格かどうか判断できるでしょうか。
多くの人は、そんな専門的な審美眼を持ち合わせていないので、周囲の似たような物件の取引価格を参考にしたり、家賃から利回りを計算したりするなどして、市場の相場を推測するしかないのが現実です。
しかし、落とし穴はあらゆるところに潜んでいて、例えば、新築価格には「新築」というプレミアムが上乗せされているため、購入した瞬間から「中古」扱いになり、購入後すぐに資産価値が減少するのが一般的です。
価格が少なくとも10%は下がるのではないかと思います。
周辺の物件や利回りを調べることはできても、買った瞬間に10%下がるとかういったことまで頭が回らないことが多いんですよね。
自分で相場を調べることが出来る方はまだいいですが、実際には不動産会社の言う価格をそのまま信じてしまうケースが多く、特に初心者はその傾向が強いです。
相談者の中には実際の相場の3倍以上で買わされているといったこともありました。
そういった人は、家賃と返済のバランスが合わず、最終的にはローンの返済が難しくなり、やむを得ず物件を売却しようとしても、売却価格がローンの残債に届かず、不足分が残ってしまうのです。
結果として、そのまま自己破産に追い込まれる方が本当に多かったです。
これだけでも素人が手を出してはいけない投資だということがわかりますよね。
しかし、リスクはまだまだあります。
空室リスク(サブリース契約しなかった場合)
サブリース契約をしなかった場合には、もちろん空室のリスクが伴います。
しかし、弁護士事務所に相談に来る方は、「東京のワンルームマンションの入居率は非常に高く、平均して95%以上に達することが多く、かなり高い入居率を誇っている」と言われ、対して調べもせずに、空室リスクのことなど考えずに購入してしまい、結果、1年以上入居者がいないという事態に陥って困っているという人が多かったです。
この入居率について、実際の数字を表している部分もありますが、そのような高い数値は、限られた都心部の物件である可能性が高いです。
さらに、入居率のデータには、いくつかの種類があり、その計算方法によって大きく変わることがあります。
代表的なものに「時点入居率」「稼働入居率」「賃料入居率」の3つがあります。
ある特定の時点における入居率を示していて、2024年4月時点と言えば、その瞬間の数字を表していることになります。
そのため、新年度の切り替わる4月のタイミングでは、引っ越ししてきた人が多く、入居率が最も高いと言われており、その時点の数字を見せられると入居率がとてつもなくいい様に見せることが出来るということです。
しかし、6月から8月は「閑散期」とされ、この期間は引越しをする人が少なく、物件の入居率が下がりやすいといわれていますので、その時点のデータを見ると全然入居者が高くなかったりします。
1年間を通しての稼働日数のうち、実際にどれだけ空室があったかを基にしたもので、より実質的な数字です。
たとえば、10部屋ある物件のうち、2部屋がそれぞれ3ヶ月空室だった場合、空室率は約5%となり、入居率は95%という計算になります。
こちらが一番、現実的な指標といえるかと思います。
未収賃料がどれだけ発生しているかを計算し、空室率を求める方法です。
これは、空室による損失がどの程度かを示しており、稼働入居率に近い指標と言えるかと思います。
参考までに、HOME’Sの「東京都の賃貸用住宅の空室率一覧」を基に、空室率をまとめておきました。
これが上記のどの指標を用いたものかは不明でしたが、数値のイメージをつかんでいただければと思い引用させていただきます。
地区 | 空室率(%) |
---|---|
千代田区 | 36.5 |
中央区 | 27.7 |
港区 | 13.9 |
新宿区 | 15.0 |
文京区 | 13.1 |
台東区 | 18.4 |
墨田区 | 9.8 |
江東区 | 7.4 |
品川区 | 12.3 |
目黒区 | 28.2 |
大田区 | 17.4 |
世田谷区 | – |
渋谷区 | 14.8 |
中野区 | 9.9 |
杉並区 | 12.9 |
豊島区 | 18.9 |
北区 | 12.1 |
荒川区 | 20.5 |
板橋区 | 14.3 |
練馬区 | 15.5 |
足立区 | 18.2 |
葛飾区 | 16.9 |
江戸川区 | 12.5 |
八王子市 | 16.8 |
立川市 | 13.9 |
武蔵野市 | 13.0 |
三鷹市 | 14.0 |
青梅市 | 16.6 |
府中市 | 12.4 |
昭島市 | 13.1 |
調布市 | 11.4 |
町田市 | 14.2 |
小金井市 | 14.7 |
小平市 | 17.0 |
日野市 | 16.2 |
東村山市 | 14.4 |
国分寺市 | 14.2 |
国立市 | 16.0 |
福生市 | 20.0 |
狛江市 | 13.8 |
東大和市 | 15.7 |
清瀬市 | 12.5 |
東久留米市 | 12.7 |
武蔵村山市 | 17.3 |
多摩市 | 10.3 |
稲城市 | 12.6 |
羽村市 | 17.2 |
あきる野市 | 23.0 |
西東京市 | 11.1 |
西多摩郡 | 20.8 |
これらすべてを考慮しないといけないとなると、かなり億劫ですよね。
じゃあもうサブリース契約にしてしまおうと、サブリース契約した場合についてお話しします。
サブリース契約のリスク
前述の通り、サブリース契約では入居者の有無にかかわらず、家賃の90%前後が保証されます。
(引用:GRANDVANTIME「サブリース契約とは?仕組みと必ず注意すべき6つのポイント)
仮に95%の入居率が維持できるとすれば、サブリース契約による収入は実際に満額家賃を受け取るよりも低くなります。
このため、ワンルームマンションの入居率が高い東京では、サブリース契約に依存するとかえって損になる可能性もあるのです。
かといって、老朽化して入居率が下がってからサブリース契約しようなんて甘い話は当然通るわけではありません。
業者は儲かるからサブリース契約をするわけですから、老朽化して入居率が低い物件をサブリース契約してくれる業者なんてありません。
また、サブリース契約は売却の際に障害となることが非常に多いです。
サブリース契約が継続している状態で物件を売却する場合、買い手はその契約条件を引き継ぐ必要があるんですよね。
オーナーが住んでいるわけではないので、誰か住んでいる物件をオーナーチェンジという形で売却することになるわけですが、そういった物件を購入するのは通常一般人ではなくそれを生業としている業者であることがほとんどです。
しかし、業者からすると自分たちで貸し出して家賃収入を得たいのに、間にサブリース業者が入っていると利益が出しにくいので、収益率が悪い物件となるのです。
それでも買ってもらうためには、相場より大幅に安い金額で買ってもらうしかないのです。
じゃあサブリース契約を解除すればいいじゃないかと思うと思いますが、簡単にできないんですよね。
サブリース契約は契約書に「解約可能」と書かれていることが多いですが、実際には借地借家法の適用を受けるため、サブリース契約を解約できないケースが多いです。
この法律は、もともと一般の借主を保護する目的で作られており、強い立場にある貸主から一方的に契約を解除されることを防ぐために、厳しい制限が設けられています。
住民も生活があるのに、オーナーの都合で、いきなり明日から出ていけと言われたら困っちゃいますよね?
それを防ぐための法律だと考えていただければ。
サブリース契約でもこの法律が適用され、物件のオーナーが「貸主」、サブリース業者が「借主」として扱われます。
法律上、サブリース業者はあくまで借主として保護される立場にあるため、オーナー側から契約を一方的に解約するのが難しくなります。
この構造に違和感を覚えるかもしれませんが、実際に過去の判例でも、サブリース会社が借主と見なされ、法律に守られることが確認されています。
そのため、オーナー側から契約を解除するのは難しいんです。
いつでも解約できると書いてあるけど、実際にはできないって詐欺に近いんじゃないかっていう印象を持ってしまいますよね。
家賃下落・資産価値下落リスク
意外と見過ごされがちなのが、この家賃の下落です。
当然ですが、老朽化が進めば家賃が下がっていきます。
最初の10年から15年程度は比較的安定している場合もありますが、築年数が20年を超えると、家賃が下がる可能性が高くなります。
設備や見た目が古く劣化していたら、安いというメリットがないと住みたくないのは当たり前ですよね。
もちろん、適切なリノベーションやメンテナンスを行うことで、家賃をある程度維持することは可能ですが、それでも築年数が経過するほど、資産価値の下落リスクは避けられません。
相談に来る方にも、家賃収入と銀行への返済のバランスが崩れ、毎月の負担が大きくなってしまい、返済ができず結局売却を余儀なくされるなんてこともよくありました。
しかし、資産価値が下がっていたため、売却価格がローンの残債に届かず、不足分が残ってしまい、やはり自己破産に追い込まれるといったパターンの方も多かったです。
維持管理費・修繕積立金の上昇リスク
上述の通り、維持管理費・修繕積立金は物件の長期的な価値を保つために不可欠ですが、年々増加するリスクがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
これは、マンションの共用部分の維持や清掃、管理サービスにかかる費用です。
具体的なリスクとしては、以下の要因による上昇が考えられます。
リスク | 購買力を半減させる年数 |
---|---|
人件費の上昇 | 建物の管理を委託する管理会社の人件費が増加すると、そのコストが管理費に転嫁されます。近年、特に日本では人手不足や賃金上昇に伴い、管理会社の運営費用が上がっており、その影響で維持管理費も上昇傾向にあります。 |
管理サービスの改善・追加 | 住民の要求が高まると、管理内容の向上や新しいサービス、例えば防犯カメラの設置などのセキュリティ強化が追加されることがあり、その結果、管理費が増加します。 |
エネルギーコストの上昇 | 共用部分の電気代、冷暖房費、給水・排水システムなどのエネルギーコストが増えると、それが維持管理費に反映されます。 特にエネルギー価格が不安定な時期には、このリスクが高まります。 |
建物は経年劣化するため、時間が経つにつれてより大規模で高額な修繕が必要になります。
建築から10年、20年、30年と経つにつれて、外壁やエレベーターや階段、廊下などと言った共有部設備の更新が必要になるため、修繕費用が増大します。
修繕積立金は、こういった老朽化にも備えるため、「オーナーみんなで出し合って、建物になんかあったらそこから払って直そうね!」といった意味合いの毎月支払う保険金みたいな制度です。
これは新築当時から、大規模修繕計画書というものにまとめられ、最初から金額も計算されているのですが、新築物件の販売時には、修繕積立金が低く設定されることが多いです。
購入者に対する物件の魅力を高めるため、月々の負担を抑えて販売しやすくする意図があるようです。
将来の修繕計画を見越していても、最初の数年は低額の積立金で運用され、一定期間が過ぎた後に引き上げられる計画が一般的です。
これも素人目には詐欺的だと感じてしまいますよね、、、
また、計画書通り支払っているからと言っても安心できるものではありません。
建物の修繕は長期にわたって行われるため、将来の工事費や建材費の変動を正確に予測することは困難なんです。
さらに、修繕積立金の金額は、管理組合というオーナー同士の集まりで毎年話し合いながら決められますが、その見積もりが甘く、後になって「予算が全然足りない!」ということになり、不足分を急遽一括で請求されることもあります。
このため、計画的に資金を積み立てていても、想定外の費用が発生するリスクは否定できないのが現実です。
専有部のリフォーム費用リスク
前述した修繕積立金は、共有部のための積み立てであり、自分が所有している部屋で起こる老朽化対策は別途自腹でしないといけません。
キッチンやバスルーム、給湯設備、トイレなどは、使用頻度が高いため比較的早期に劣化します。
エアコンや床暖房の交換、フローリングや壁紙、窓枠などの内装メンテナンスも定期的に必要です。
これらの費用が結構な高額になることがありますので、以下に費用と期間をまとめてみました。
金額は本当にざっくり概算なので、参考までに。
設備・内装 | 交換・メンテナンスの目安 | 費用の目安 |
---|---|---|
キッチン | 10年 | 100万円前後 |
バスルーム | 10〜15年 | 100〜150万円前後 |
給湯設備 | 10〜15年 | 50〜100万円前後 |
トイレ | 10〜15年 | 30〜50万円前後 |
エアコン | 10〜15年 | 20〜30万円前後 |
床暖房 | 10〜15年 | 30〜50万円前後 |
フローリング | 10〜20年 | 20〜50万円前後 |
壁紙 | 5〜10年 | 10〜20万円前後 |
窓枠 | 10〜20年 | 10〜30万円前後 |
よく考えれば当たり前に必要な費用なんですけど、なかなかこれには目がいかず、それが必要になったときに後出しで不動産会社に言われて知ったって人が本当に多かったです。
新築の場合は、これらが必要になってくるのは10年後なので、気づきにくいですが、中古の場合、初年度で必要になってくるケースなどもあったりします。
金利上昇リスク
投資用ローンには大きく分けて「固定金利型」と「変動金利型」がありますが、ほとんどの場合は、金利が低い変動金利を選択しているかと思います。
これまでのところ、変動金利といいながらも実際の金利変動はほとんどなかったため、安心して利用できる状況が続いていました。
しかし、金利が上がったときには、毎月の返済額が大きくなり、潜在的に返済ができなくなるリスクが存在しています。
実際、2024年7月に日銀が利上げを発表しました。
この利上げによって、金融機関は短期プライムレートを引き上げる動きが広がり、すでに一部の銀行では実施されています。
例えば、三菱UFJ銀行は、2024年9月2日から普通預金金利を年0.02%から5倍の年0.10%に引き上げました。
預金金利が上昇すると受取利息が増えるため、家計にはメリットですが、下記の通り、これに合わせて不動産ローンの変動金利も上げると発表しています。
2024年7月31日発表の「短期プライムレートの引き上げ」に伴い、2024年10月1日より住宅ローンの変動金利の基準金利を見直しします。
住宅ローンを組めないリスク
不動産ローンは「投資用ローン」と「居住用ローン」の2種類があります。
通常、ワンルームマンション投資で使うのは前者の投資用ローンであり、投資目的で不動産を購入するためのローンです。
居住用ローンは自分や家族が住むための住宅を購入するためのローンで、自分で住むことを目的とした住宅の購入に使われます。
この2つのローンは、金利面などでも大きく異なります。
投資用ローンは、居住用ローンに比べて金利が高めに設定されています。
不動産市場の変動や空室リスクなど、収益が不安定な要素があるため、貸し手はリスクをカバーするために金利を高めに設定するんですね。
一方、居住用ローンは長期にわたって安定的に返済されることが見込まれ、金融機関にとってもリスクが比較的低いとされており、金利が低めで提供される傾向があります。
また、税制上の優遇措置なども違ったりとありますので、以下に違いをまとめておきました。
項目 | 不動産投資ローン | 住宅ローン |
---|---|---|
ローンの目的 | 投資用不動産の購入・運用 | 自己居住用の住宅購入 |
金利 | 高めで、2%以上が一般的 | 低めで1%を切るものが一般的 |
税制優遇 | 減価償却や経費計上が可能 | 住宅ローン控除など税制優遇あり |
さて、投資用ローンを既に組んでいる場合に、居住用ローンを新たに組むことができるかどうかですが、実際のところ、これは非常に難しいケースが多いです。
金融機関は、個人が持つ総債務を考慮してローンの審査を行います。
投資ローンをすでに組んでいる場合、その借入額や返済額が影響します。
居住ローンを新たに組む場合、総返済負担率(年収に対するローンの返済額の割合)が一定の基準を超えると、ローンが承認されにくくなります。
金融機関ごとに基準は異なるものの、総返済負担率は一般的に30%以内に収めることが求められます。
つまり、収入に対して既存のローン返済額が多いと、新たに居住用ローンを組むのが難しくなるわけです。
こうして計算してみると、居住用ローンを組まないと決めている人か、年収が突出している人でないと、投資用ローンは組まない方が良い様に思えます。
一部の不動産会社から「投資マンションを持っていると資産価値が高まり、銀行からの信用が上がる」という話を聞くこともあるようですが、実際にはそのようなことはありません。
投資用ローンを持たない場合であれば、金利1%程度では約7000万円ほどの借入が見込めますが、すでに投資用ローンを組んでいると、その金額は半分以下になってしまうことがほとんどなんですよね。
流動性のリスク
不動産の相場というものは、実際にはあってないようなものです。
いくら「相場価格」で物件を売りに出しても、その価格で購入したいという人がいなければ、当然売れることはありません。
相場よりもかなり低い価格で出しているなら早く売れるかもしれませんが、そうでない場合は、その物件に住みたい人が見つからない限り、すぐに売却できないこともよくあります。
そのため、売りに出してからなかなか売れないという状況は、不動産投資ではよくある話です。
さらに、上述したようにサブリース契約がついている場合には、相場の金額では絶対に売れません。
業者からすると自分たちで貸し出して家賃収入を得たいのに、間にサブリース業者が入っていると利益が出しにくいので、収益率が悪い物件となるからです。
こうした事情から、もし何かあってすぐに現金化したいと思っても、現金化が難しいリスクが常に伴います。
急な資金が必要で、足元を見られ、相場より相当低価格で売りに出すしかないといったこともしばしばみてきました。
節税のウソ
これはリスクというよりは、不動産会社にめちゃくちゃ節税になるって聞いていたけど、実際にやってみたら初年度だけで、次年度以降は大幅に節税できる金額が下がったという内容です。
上述の通り、不動産投資でかかる経費は、毎年できるものと初年度のみできるものがあります。
その中で大きい金額になってくるのは、初年度にかかる費用なんです。
3000万円の物件を購入した場合、概算ですが、初年度計上できる費用は、100~200万円で、次年度以降は30万円前後ではないでしょうか。
しかし不動産会社は、毎年初年度と同様の節税ができるように見せかけて説明し、その点を指摘されるまでは特に言及しない業者が多い印象です。
それに騙されたと主張していた依頼者の方も本当に多くいましたね。
3 投太郎が実際に見てきた詐欺的な行為について
それでは、ここからは合法ではないやり方でワンルームマンション投資をさせられていた例を紹介していきます。
3-1 居住用ローンの不正利用
前述のとおり、ワンルームマンション投資で銀行から借りるローンは、金利が1%を切るような通常の居住用ローンではなく、2%前後の投資用ローンで組むことになります。
例えば3000万円の物件を35年の投資用ローンで組む場合、2%の金利だと、合計で約4150万円を支払うことになります。
投資ではなく、自分で住む場合のローン金利は、1%を切ることがほとんどで、場合によっては0.5%を切ることさえあります。
0.5%でローンを組めたら、返済額は約3250万円で、900万円も違いが出てきます。
以下のように、金利がわずかに上がるだけで、総返済額には大きな違いが生じます。
金利 | 月々の返済額 | 年間の返済額 | 返済額合計 |
---|---|---|---|
0.5% | 77,876円 | 934,507円 | 32,707,760円 |
0.75% | 81,235円 | 974,825円 | 34,118,889円 |
1.0% | 84,686円 | 1,016,229円 | 35,568,000円 |
1.25% | 88,226円 | 1,058,711円 | 37,054,870円 |
1.5% | 91,855円 | 1,102,264円 | 38,579,240円 |
1.75% | 95,573円 | 1,146,877円 | 40,140,695円 |
2.0% | 98,629円 | 1,183,548円 | 41,424,180円 |
2.25% | 101,763円 | 1,221,160円 | 42,771,326円 |
2.5% | 104,973円 | 1,259,675円 | 44,088,297円 |
もうおわかりですよね?
そうです、自分で住むと言って住宅ローンで組んじゃえよとささやいてくる不動産会社がいるんです。
そうすると、家賃収入がローン返済を上回る可能性が非常に高く、オーナーになろうという気持ちを促進しやすいですからね。
しかし、実際には投資用不動産であるにもかかわらず、住宅用と偽ってローンを組むことは、虚偽申告に該当し、場合によっては詐欺罪が成立する可能性もあります。
いずにれせよ、契約違反ですので、銀行にばれたらローンの一括返済を求められることが一般的です。
そして、売却価格がローンの残債に届かなかった場合には、まとまった金額を自身の資産から用意しないといけなくなり、払えないで、自己破産に追い込まれるといったパターンの方も多かったです。
では、どうして銀行はこの虚偽申告に気付くのでしょうか。
まず、通常は物件を購入した際に住民票を異動する必要があります。
そしてその購入した住所宛に、銀行から郵送物など届いたりするのですが、実際にはそこに住んでいないので、住んでいる住民が受け取ることになりますよね?
不動産会社が住人に協力を頼み、郵便物をオーナーに転送するよう手配しているケースもありますが、住人がその状況に不満を抱いて銀行に通報したり、不動産会社が突然連絡を絶つなどして、銀行に虚偽申告が露見することがよくあります。
あとは、そういうことを繰り返している業者は、程度回数を重ねると銀行側もおかしいことに気付き始め、その業者を介してローンを組んだ人は、本当にその物件に住んでいるのかを調査するようになってきたため発覚したといったこともありました。
3-2 金融機関への偽申告
これは比較的低所得者の場合が多かったです。
年収が400万円未満で、ローンの審査に通らないような信用状態の人がターゲットとなり、不動産業者によって年収や勤続年数を改ざんされることがあります。
中には、保険証を偽造し、実際の勤続年数をごまかす業者まで存在するんです。
例えば、年収を偽る場合どうするかというと、その不動産会社が提携していると思われる会社から「事業所得」として数百万円が振り込まれたかのように見せかけ、過去の年収を修正申告させます。
これらの行為は、居住用ローンの不正利用と同様に虚偽申告に該当し、場合によっては詐欺罪が成立する可能性もあります。
しかも、過去の年収が上がったことで未払いの税金が発生するのに、それを告げられていないことで、税務署から督促がきてあたふたするといった依頼者の方も多くいらっしゃいました。
問題は、このような複雑な税務に関する知識を持たない相談者が、業者の指示通りに行動してしまい、その後に税金の支払い義務や、重いローン返済の負担に直面するということです。
結果として、返済が困難になり、税金も払えず、最終的には自己破産に追い込まれるケースが本当に多かったです。
3-3 確定申告の虚偽申請
不動産投資を始めると、サラリーマンでも経費を計上できるようになり、節税が可能になります。
ただし、初年度の経費が一番大きくなるため、その分の支出が避けられないんです。
誰だってできるだけ費用は抑えたいですよね。
ここで一部の不動産会社は、購入者の心理を突いて「諸費用を全て会社が負担する」と謳って勧誘してきます。
つまり、購入者が支払うのは物件の購入価格だけだというのです。
しかし、諸費用は通常買主が払わねばならない費用であるため、それらは売主が払った体の領収書などを用意することが一般的です。
こうして、実際には支払っていない費用を経費として計上し、不正に税金の還付を受けるという行為が行われることがあります。
相談を受けたケースでは、相手の不動産業者の約8割がこのような手法を用いていた印象です。
実際には、その諸費用分が物件価格に載せられていることがほとんどで、なんの得にもなっていないのですが、お得に見えるというところが本当に恐ろしいです。
さらに、雑費として、不動産投資に関する情報収集のために購入した書籍やセミナー参加費、不動産視察や管理業務のためにかかる交通費や交際費なども計上できることがあるのですが、実際は不動産と全く関係のないプライベートの飲食費や交通費を計上させることもあります。
中には不動産会社の営業マンが使った領収書を使わせて確定申告させるなんてこともありました。
こういった行為は所得税法に違反する可能性が高いのですが、確かに税務署にばれることは少ないようです。
節税できる金額も50万円未満であることが多く、その実態を暴くために税務署がお金を使うことはなかなかないからだと思います。
しかし、相談者の中には、実際に税務調査が入って、虚偽の申告がばれたといった事案がありました。
最悪の場合、脱税として刑事事件にもなります。
幸運にも、その相談者は刑事事件にはならず、ペナルティーとして附帯税が課せられただけで済みましたが、こういった行為は非常に危険であり、リスクが高すぎるので、やめたほうが賢明かと。
おまけ~持ち主に売らせようとする業者~
これはワンルームマンション投資を既にしている人に向けて行われる手法です。
大きく分けて2つのパターンがあります。
安く買いたたこうとする場合
不動産会社が「あなたの物件を買いたいという依頼者がいる」と営業電話をかけてきます。
提示される価格は、相場よりも高い金額で、「この機会を逃したらもったいない!」と思わせるような魅力的な額です。
次に、実際に会って話を進めると、業者はその高額な条件で媒介契約を結ぶよう誘導します。
媒介契約とは、物件の売買を仲介する業者と締結する契約です。
この時、業者は「この物件にはリスクが多いので、早めに手放した方が良い」と強調して説明します。
上記のリスクたちをこう言うときはしっかりと説明するんですよねー。
そして、「こんなリスクだらけの物件が、こんなに高値で売れるなんて、めちゃくちゃついてる!」と持ち主に思わせるのです。
ところが、いざとなると「その金額では物件の価値が低かったため、ローンが通らなかった」という理由を示してきます。
そして、提示額よりも低い金額で買うよう持ちかけられ、「これくらいの金額なら購入できる人がいる」と新しい金額を提示されます。
持ち主はすでに売却する気持ちになっているため、ある程度の金額までは持ち主も心が動いてしまうことが多いようです。
さらに、あまり考える時間を与えられず契約してしまった後で、「やっぱりこの価格は安すぎた」と後悔し、契約解除を申し出ても「解除できない」と言われます。
本来であれば、手付金を放棄することで解約可能なケースが多いにもかかわらず、それすらできないとされることもよくありました。
違約金狙い
違約金は、契約が売主や買主の一方の責任で履行できなかった場合に請求される金額で、一般的に売買代金の20%が設定されています。
これも媒介契約までの流れは大体一緒です。
しかし、その後が違います。
例えば、サブリース契約が付いている物件では、買い手が見つかりにくいことがしばしばありますが、この状況を利用して、「サブリース契約の解除が売却の条件だ」と業者が主張してきます。
さらに「サブリース契約の解除は業者が代行するから心配ない」と言葉巧みに契約を進めるのです。
しかし、実際にはサブリース契約が解除できず、売主側が契約履行の責任を果たせなかったとして、違約金が発生してしまうのです。
どう考えたって、業者の責任だろって思いますが、契約書上は、サブリース契約解除の責任は売主にあることになっているんですね。
ほかにも、ローンの残債との差額が発生してしまうけど、そのお金を用意できないといった状況だったが、「差額分を他の銀行で借り換えれば問題ない」と業者が説明し、さらにはその銀行を紹介すると持ちかけてくることもあります。
そして強引に契約させ、実際にそのローンが組めず、売主が契約を履行できない状況に陥ると、やはり違約金が請求されることになります。
これも同様に、こっちには責任ないだろって思うのですが、契約書上の責任は売主にあるんですよね。
焦って契約を締結することは本当に危険なんです。
ここでは代表的な詐欺的な手口を紹介しましたが、この他にも、悪質な例として、契約を迫るために個室に朝まで監禁されたり、偽の弁護士を使って法的な脅迫を行ったりする事例など多岐に渡ります。
恐ろしい世の中だとつくづく実感します。
4 投資のリスクを回避する方法
ここまで説明してきた通り、ワンルームマンション投資には大きなリスクが伴いますので、私はお勧めしません。
しかし、どうしてもワンルームマンション投資をしたいという場合には、上記の内容を把握していただいたうえで、市場調査をしっかりとすることが大切だと思います。
例えば、インターネット上で過去の売買履歴を調べたり、専門の投資ブログを読むことで、自分でも市場の傾向をある程度理解することは可能です。
地域の価格動向や需要を調べておくことで、急な資金繰りが必要な場合でも、損失を最小限に抑えられるのではないでしょうか。
また、不動産投資をするには、必ず業者を通す必要がありますので、どれほど魅力的な条件を提示されても、しっかりと調査をし、契約内容をしっかりと確認することは欠かせません。
契約書の内容をよく理解し、弁護士などの専門家のアドバイスも受けることが、リスク回避につながるのではないでしょうか。
5 さいごに
いかがでしたでしょうか。
ワンルームマンション投資の参考になれば幸いです。
私が投資において深く影響を受けている「敗者のゲーム」という本でも、不動産投資の難しさを語っているので、以下に引用しておきます。
不動産投資も魅力的だ。
世界の大富豪の多くは、 不動産投資で財を成してきた。
課税上の優遇措置を最大限に活用したからだ。
そして、彼らの十分な資金調達能力に裏付けられた巧みな借り入れ、強力な交渉力、忍耐と決断と実行力の賜物とも言えるだろう。
さらに、不動産投資で成功するには、 その地域の詳細な事情や個別の投資案件についても、 テナント名や契約条件、改築による将来の賃料引き上げの可能性、有力なテナントの誘致能力など、高度な専門知識が必要だ。全力投球が求められる。
こうした条件をすべて備えた人はほとんどいないだろう。
とても片手間でできるものではない。
だからこそ、幸運に恵まれれば、不動産投資のプロは高い運用成績をあげられるのだ。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
投資を始めるときはぜひ慎重に!
ただし、慎重になりすぎて、投資そのものを先送りにしてしまうことは、大きなリスクを伴う行為でもあります。
2024年現在、世界中で物価高騰とインフレが進行しており、資産を現金のまま保有していると、その価値は徐々に目減りしてしまいます。
総務省の発表によると、2023年9月の消費者物価指数は以下の通り上昇しました。
(引用:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)9月分(2023年10月20日公表)」)
2020年から見ると6%も物価は上昇しています。
そして、この物価上昇は今後もしばらく続くと考えられます。
このようにインフレが起きると通貨の価値が下がるため、資産を貯金だけで持っている場合、資産が目減りしてしまうことになります。
これらは、コロナや戦争などの原因で、原材料の高騰のせいと言われていますが、そもそも、日本政府が目標としている年間2%のインフレ率を考えると、30年後には資産が半減している計算になります。
過去の物価と比較しても、1940年代と現代では物価の変動が顕著です。
当時のおにぎり1つが約5銭だったのに対し、現在は100円以上で購入することが一般的です。
1940年代の現金の価値は、現在の価値と比較しておよそ1/2000の価値になったということです。
このように時間の経過と共に通貨の価値が変わることを考慮すると、投資をしないことによるリスクは明らかです。
私個人的には、インデックス投資やヘッジファンド投資をお勧めします。
国内のヘッジファンドについて興味がある方は、以下記事も参考にしていただければ幸いです。
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