こんにちは、某法律事務所にて日々投資詐欺案件に携わっています、投太郎です。
今回も、何度かこのサイトで取り上げている国内ヘッジファンドBMキャピタルについて解説していきます。
ネットでBMキャピタルを調べると「怪しい」と出てきますが、実際僕も結構怪しいと思っていましたし、いまもまだちょっと怪しいと思っているところがあります笑
具体的には、「やたら利回りが高い点」や「金融庁の登録がされていない点」など、いろいろ怪しいところ満載です。
その中でも一番不信なのは、「BMキャピタルが解散を繰り返している点」だと個人的には考えています。
私は、その辺の話を実際に社員さんからいろいろ伺っているので、解散の点をメインに、怪しい点を解説していこうと思います。
なお、この記事は石井政成弁護士に監修していただいております。
それでは、まず最初に一番気になるところ、解散についてみてきます。
以下の通り、国税庁の法人番号サイトで検索をすると、BMキャピタルは過去5回解散していることが分かります。
引用元 : 国税庁 法人番号公表サイト
「BMキャピタルは解散していて運用実態はないの?」と思うかもしれませんが、こちらのサイトで分かるのはあくまで解散履歴等であり、現在もBMキャピタルは存在します。
しかし、確かに解散を繰り返しており、直近では2022年10月5日に解散(清算)しているようです。
なぜこんな怪しすぎる動きをしているかというと、BMキャピタルが合同会社スキームという方法で出資金額を集めているからです。
これを理解するためにはまず、合同会社とは何かということについて理解をする必要がありますので、まずはそちらを解説したいと思います。
合同会社は設立金額が株式会社と比べて安く、組織構成もシンプルで、株の代わりに社員権と呼ばれるものを販売していると理解頂ければ大丈夫かなと思います。
また、「合同会社の議決権は出資金額に縛られず自由度高く設定可能」という点も特に重要です。
この合同会社の特性を活かしてBMキャピタルは社員権自己募集スキームと呼ばれる方法で、投資家から資金を集めています。
簡単ですが、図を作ってみました。
BMキャピタルは上記のように合同会社の社員権を投資家に販売するというスキームで、資金調達を行なっています。
この方法は、ヘッジファンドが資金調達をする際によく用いられ「合同会社 社員権自己募集スキーム」と呼ばれます。
以降は長いので合同会社スキームと表記します。
ヘッジファンドが合同会社スキームで資金調達をする際の最大の理由は、499名までの募集であれば金融取引業の対象から除外されるという点です。
以下にメリットデメリットをまとめました。
メリット
- 金融取引業に該当する金融商品と比較して、規制を受けず自由度の高い投資戦略を実行することができ期待リターンを高められる
- 金融取引業登録にかかる膨大な費用や時間は発生しないため、投資家に対する手数料を抑えることができる
デメリット
- 499名までしか募集できないのでそれ以上の投資家を集めるためには一度解散をして、特別な処理を実行する必要がある
- 合同会社スキームは比較的簡単に実行することができるので、投資家側に選球眼がないと運用実態の無い詐欺的な業者に騙されてしまう可能性がある
BMキャピタルにおいても投資家が499名を超えると一度解散して、投資家に対してある手続きを踏んでいます。
さらに複雑な話になってくるので、ここらへんの細かいスキームがどうしても知りたい方は、BMキャピタルに直接聞いてみていただければと思います。
他にも私が怪しいと思っていた点について、いくつか紹介していきたいと思います。
2 他の怪しい点
ここではほかに私が怪しいと思っている以下5点に焦点をあててみていきます。
①金融庁のリストに載っていない
②やたら利回りが高い
③なぜ公募にしないのか
④本社の住所がマンションの一室
⑤運用実態がちゃんとあるのか怪しい
一つずつ見ていきましょう。
怪しい点① 金融庁のリストに載っていない
引用元 : 金融庁 適格機関投資家等特例業者リスト
BMキャピタルが手数料控除後年間利回り10%を望める金融商品だと知った時、BMキャピタルが金融庁の「適格機関投資家等特例業者リスト」に掲載されているか商品なのかを、念の為調べることにしました。
この「適格機関投資家等特例業者リスト」というのは、金融庁が作成したもので、詐欺的な金融商品から一般投資家を守るための安全性を確保するためのリストです。
要するに、安全な私募ファンドと判断される業者だけがリストに載っているというわけです。
リストに掲載されるためには時間や資金、その他の厳しい基準を満たす必要があるため、基本的にここに記載された私募ファンドはある程度信頼できると見なしてよいと思います。
ただし、リストに載った後に登録が取り消されたファンドも存在するので、「100%安全」とは言い切れないところもあるようです。
また、金融庁がその投資商品によるリターンを保証するわけではありませんので、そこは注意してくださいね。
ところが、BMキャピタルはこの「適格機関投資家等特例業者リスト」に掲載がありません。
これは上述の通り、合同会社スキームで資金を集めていることが原因です。
合同会社スキームでは499名まで投資家を集めることができますが、適格機関投資家等特例業者リストに掲載されるための一つの条件として、投資家が49名以下である必要があります。
2007年9月30日より金融商品取引法が施行され、同法の規定により、集団投資スキーム(ファンド)持分の自己募集や出資を受けた財産の自己運用(有価証券等投資に限ります)を業としている者に対して、登録義務が課されています。
また、1人以上の適格機関投資家かつ49人以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定の者等を相手とする私募や出資を受けた財産の自己運用(有価証券等投資に限ります)については届出義務が課されています。
BMキャピタルは、ヘッジファンドとしては珍しく、1,000万円という少額から投資を始められるファンドです。
こうした少額からの投資を受け付けているため、多くの投資家を集める必要があります。
このため、投資家数を49名以下に絞ることは難しく、結果として適格機関投資家等特例業者リストへの登録申請も行っていないそうです。
さらに、BMキャピタルは合同会社スキームを使って資金を調達しているため、このリストへの登録義務もありません。
ただし、合同会社スキームを利用しているとはいえ、もし違法または法の抜け穴を利用したような行為があれば、設立から5年以上が経過していることもあり、金融庁から何らかの指摘があるはずです。
しかし、これまでBMキャピタルについて金融庁から指導や警告などの情報は出されておらず、現状では特に問題視されていないようです。
怪しさはぬぐい切れませんが、違法ではないということですね。
逆に、以下のリストを見れば怪しいファンドも分かるようです。
怪しい点② やたら利回りが高い
BMキャピタルの利回りは、手数料を差し引いた後でも年間で10%を超える年があるんですよね。
そんなに高い実績を出せるものなのか疑問でした。
この高い利回りは、ポンジスキームのような詐欺行為によってもたらされているのではないだろうか?
本当に、そんな実績を出せるファンドマネジャーがいるのだろうか?
と、心配になりました。
ただ、結論この心配は杞憂に終わりました。
BMキャピタルの社員との面談で、実際に過去投資していた銘柄やどのようなスキームでリターンを得たのか、ということを詳しく教えて貰い シンプルにファンドマネジャーが優秀だから利回りが高いのだと理解できたからです。
スキームについては以下記事で詳しく紹介しています。
荒れ狂う株式市場を支配するバリュー投資とは?BM CAPITALも採用する「割安銘柄の長期保有」という投資戦略の実態以下に組み入れ銘柄をまとめた記事もありますので、興味がある方はみてみてください。
BMキャピタルの組み入れ銘柄3選【運用手法や実績についても解説】怪しい点③なぜ公募にしないのか
では、なぜそんな優秀なファンドマネージャーがいるのに、大きく資金を集めることが出来る公募ファンドにしないのだろうか?
次にそういった疑問が浮かんできました。
実際、ひふみ投信のファンドマネージャーである藤野英人氏のように公募ファンド(投資信託)を作って成功している敏腕のファンドマネージャーも存在するのです。
この点についても私も疑問に思ったので、面談時に社員さんに聞いてみることにしました。
結論として、公募ファンドとして投資信託で運用すると、投資戦略に制約がかかり、自由な運用が難しくなるからだと説明されました。
特に、企業の株を大量に保有し、その企業に対して改善提案を行うアクティビスト活動は、公募ファンドでは制限されてしまうのです。
投資信託は「投資信託法」によって一定の制約があり、具体的には一つの企業の株式を50%以上保有することができません。
このルールにより、BMキャピタルが利益を上げるための重要な戦略であるアクティビスト活動ができなくなってしまうのです。
Q.投資信託は一企業の株式の何割を保有できるのですか?
A.株式を組み入れる投資信託は、法律によって株式への投資制限があります。投資信託法に規定されているその制限は、一運用会社が運用するすべての投資信託が保有する、一企業の株式に係る議決権の数が、一企業の議決権総数の50%を超えることとなる場合は、その企業の株式の取得をしてはならないとするものです。したがって、投資信託は一企業の株式の5割以上を保有することはできません。
引用元 : 投資信託協会 よくある質問
その他にも、投資信託にしてしまうと多くの制約がかかってしまうため、BMキャピタルは私募ファンドという形を取っているようです。
怪しい点④本社の住所がマンションの一室
BMキャピタルの本社住所について調べてみたところ、六本木のマンションの一室だったため、その点については怪しさしかありませんよね。
しかし、これは無駄な経費を削減して投資家の負担する手数料を減らすためで、あえてオフィスにはコストをかけないという方針とのことでした。
投資家との面談や商品説明は、むしろ投資家にとってアクセスしやすい場所で行う方が合理的ですし、ヘッジファンドの業務は知的労働が主であるため、大規模なオフィスは不要だと説明されました。
また、過去詐欺を行っていたヘッジファンド業者について調べていたことがあるのですが、そのどれもが立派な本社を構えており、ホームページもめちゃくちゃ綺麗でした。
きっと、見た目を取り繕わないと投資家を騙せないでしょう。
私自身が仮に詐欺ファンドを作るとしたら、オフィスの見た目やウェブサイトのデザインにはかなり気を配ると思います。
そう考えると、BMキャピタルがこういった点を過度に飾っていないのは、むしろ好意的に見ても良いのではないかと感じました。
怪しい点⑤運用実態がちゃんとあるのか怪しい
結局はそのヘッジファンドに運用実態があるかないかが、最終的な購入判断の基準になるかと思います。
そのため、BMキャピタルについて運用実態があるのかどうか、念には念を入れて事前に個人的にも調べることにしました。
結論、以下画像のようにBMキャピタルは上場企業の大株主として四季報に掲載されており、きちんと運用実態はあるんだなと安心しました。
3 今回のまとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、BMキャピタルに関する過去の解散疑惑や、その他の「ちょっと怪しいかな?」と思われる点についてまとめてみました。
他にも「ここが怪しいかも?」と思うところがあれば、ぜひ教えてくださいね!
私も改めて調べてみたいと思います。
正直、自分も気づいてない怪しい点が出てきたら、投資を見直すかもしれません。
他にもいくつかのアクティブファンドを見てきましたが、まあ、今のところはここがいいかなと思って投資しているスタンスですので。
BMキャピタルについてもっと詳しく書いている記事もあるので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみた