こんにちは、某法律事務所にて日々投資詐欺案件に携わっています、投太郎です。
今回は、国内ヘッジファンドの一つ「みさき投資株式会社」について、いろいろ調べたことをまとめてみました。
最初に言っておきますが、この記事で「みさき投資株式会社が投資先としておすすめ!」とか推す内容ではありません。
私自身はインデックス投資が最強だと思っている派ですし、このファンドを積極的に勧める気は全くありません。
あくまで「こういう情報がありますよ」っていう事実を並べているだけです。
興味がなかったら時間の無駄になっちゃうかもしれないので、読まないほうがいいかも笑
ただ、「武士道アセットマネジメントってどんなファンドなの?」とか、「運用者や運用方法、評判が気になる!」って人には役立つ内容になっていると思います。
この記事では、ファンドの基本情報から、投資手法の分析まで、初心者でもわかりやすく解説していきます。
専門的な言葉を極力避けて、噛み砕いて説明しているので、気軽に読んでみてくださいね。
まずは、みさき投資株式会社の概要から見ていきましょう。
会社名 | みさき投資株式会社 |
代表 | 中神康議 |
設立 | 2013年 |
会社住所 | 東京都港区南青山5-11-1 櫻井ビル3F |
電話番号 | 03-6427-7431 |
ホームページ | https://www.misaki-capital.com |
運用規模 | 約1100億円 |
平均利回り | – |
手数料 | 信託報酬1.8% 成功報酬20% その他手数料-% |
ロックアップ | 1年間 or 3年間 |
みさき投資株式会社を一言で表すなら、「働く株主®」というユニークなコンセプトを掲げたアクティビストファンドです。
アクティビストファンドと聞くと、多くの方は「村上ファンド」のようなモノ言う株主をイメージされるかもしれません。
しかし、みさき投資はこれとは一線を画し、企業と協力して長期的に企業価値を高めることを目的としています。
代表の中神氏は、短期的な株価上昇を狙うのではなく、「企業に寄り添いながら、本質的な価値を向上させるべきだ」という理念を掲げており、この考えから「働く株主®」という言葉をあえて用いているのです。
みさき投資は主に機関投資家向けに運用を行っており、個人投資家が直接ファンドに投資するのは難しいようです。
それでも、運用規模約1100億円という数字が示すように、国内外の機関投資家から高い信頼を得ています。
実際、三井住友信託銀行も「みさきエンゲージメントファンド」に約30億円を投資しており、同時に人材派遣やファンドのマーケティングを共同で行うなど、深い関係性を築いています。
三井住友信託銀行はみさき投資の運用する「みさきエンゲージメントファンド」に投資する。投資額は約30億円とみられる。人数は確定していないが同社に人材も派遣するほか、国内外の投資家にファンドのマーケティングも共同で行う。
引用元:ロイター
2 みさき投資株式会社の代表
みさき投資株式会社の創業代表である中神康議氏は、運用業界では珍しくコンサルティングファーム出身という経歴を持つ人物です。
現アクセンチュア(当時アンダーセンコンサルティング)でキャリアをスタートさせ、経営コンサルタントとして活躍。
その後、CDI(コーポレイトディレクション)でパートナーに昇進し、コンサルティング業界でも高い評価を得ていました。
パートナーにまで登りつめているのでコンサルタントとしても相当優秀だったことが伺えます。
1986年 | 慶應義塾大学経済学部卒業→現アクセンチュア新卒入社 経営コンサルタントとして働く |
1991年 | UCバークレーでMBA取得→CDI入社 |
– | CDIでパートナーにまで登りつめる? |
2005年 | あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社設立&代表取締役就任 |
2013年 | みさき投資株式会社設立&代表取締役就任 |
中神氏は、コンサルティング業界での成功を収めた後、独立してあすかコーポレイトアドバイザリー株式会社を設立しました。
この投資会社では、現在のみさき投資とほぼ同様の事業を行っていたと見られます。
事業内容をみる限り、そこおでもみさき投資株式会社とほぼ同じようなことをされていたのだと思われます。
事業内容:(1)投資先の発掘・提案・交渉(2)バリューアップ手法の提案(3)投資スキームの交渉 「ファンド投資家と企業経営者の真のWin-Win」を目指します。 世の中には良い経営者・良いマネジメントがコミットしているにもかかわらず、割安にとどまっている企業群が存在します。われわれはそのような企業群に投資させていただき、「株価見直しトリガー」を提供することにより、投資家と企業家の共栄を目指します。
引用元 : doda
3 みさき投資株式会社の投資手法
みさき投資株式会社の投資手法は、「エンゲージメント投資」と呼ばれるスタイルを採用しています。
この手法は、単なる株主提案や議決権行使に留まらず、企業経営者との対話を重視し、企業価値の向上を目指すという特徴を持っています。
大別すると投資先企業の経営に入り込み企業価値を高めていくアクティビストファンドなのですが、議決権行使のみならず企業経営者との対話を重視する運用スタイルが印象的です。
エンゲージメント投資は「協力型」、アクティビスト投資は「要求型」という違いでしょうか。
アクティビスト投資については以下記事でも詳しく説明しているので、参考にしてみてください。
【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみたみさき投資株式会社の具体的な投資対象は、上場株式です。
みさき投資株式会社では、投資先企業を選ぶ際に、b, p, mという3つの基準を使います。
- b(事業の強さ)
- 他社には真似できない強みを持っているか。
- 高い参入障壁があり、長期的に稼ぐ力があるか。
- p(人材や文化)
- 経営者や従業員が優れた人間性を持っているか。
- 健全で成長を促す社内文化があるか。
- m(経営の改善余地)
- 経営手法がどれだけ洗練されているか。
- 改善の余地があり、それに取り組む意思があるか。
bとpが優れている企業を選びつつ、m(経営の改善余地)があり、その改善に前向きな経営者であることを重視します。
これが、みさき投資の独特なアプローチです。
さらに、みさき投資は株価が割高だと判断した企業にはすぐ投資をせず、「お願いリスト」と呼ばれるリストに加えます。
そして、株価が適正水準に達したタイミングで投資を開始します。
また、保有中の企業の株価が過度に上がった場合には売却し、再びお願いリストに戻すなど、適正な価格での運用を心がけています。
この慎重さが、リスクを抑えた運用を可能にしているんですね。
みさき投資株式会社の投資先は10社前後と少ないですが、『お願いリスト』には50社前後の企業が入っているそうです。
また、投資先企業が過度に割高になった場合においても、株式を売却しお願いリストに入れなおすようです。
4 大量保有報告書の調査
上場企業の株式を5%以上保有する場合、金融商品取引法に基づき、「大量保有報告書」を5営業日以内に提出する義務があります。
この規則は、みさき投資株式会社のようなヘッジファンドにも適用されます。
そこで、みさき投資株式会社が提出した大量保有報告書をもとに、過去にどのような銘柄を組み入れていたのかを調べてみました。
以下は、2019年から2022年にかけて報告義務が発生した企業と、その推定取得株価をまとめたものです。
企業名 | 推定取得株価 | 報告義務発生日 |
---|---|---|
太陽ホールディングス(4626) | 1810円 | 2019年3月13日 |
サカイ引越センター(9039) | 5090円 | 2020年9月29日 |
キトー (6409) | 2655円 | 2022年5月23日 |
ユーザーベース(3966) | 711円 | 2022年5月26日 |
アルヒ(7198) | 1026円 | 2022年7月20日 |
みさき投資の投資先を見ると、以下のような特徴が見られます。
バリュー株への注力:割安に評価されている企業を中心に投資を行い、その価値を引き出すためのエンゲージメントを実施している。
業種の多様性:製造業(太陽ホールディングス、キトー)からサービス業(サカイ引越センター)まで幅広い分野をカバー。経済の安定成長を背景に、特定のセクターに偏らない分散型のポートフォリオを構築している。
エンゲージメント重視:株主としての対話を通じて、経営改善や企業価値向上を目指すという、みさき投資の方針が反映されている。
株式投資を行う際の参考情報として、こうした報告書から学べる点も多いのではないでしょうか。
特に、みさき投資のようなエンゲージメント型の投資手法に興味がある方にとっては、有益なデータかと思います。
5 みさき投資株式会社の口コミ
みさき投資株式会社の口コミをいろいろ調べてみましたが、全体的に好意的な意見が多い印象です。
大きな批判的な口コミはほとんど見当たりませんでした。
実際にどんな口コミがあるのか、いくつかピックアップして紹介していきます。
6 みさき投資株式会社のメリットとデメリット
最後に、このファンドのメリットとデメリットをざっくりまとめてみました。
もし投資を検討する場合は、これらのポイントを踏まえて、自分の投資スタイルや資金状況と合うかどうかを慎重に判断してください。
メリット
- 創業者&メンバーの間でしっかりとした投資判断基準があるため、安心して長期投資を任せることができる
デメリット
- おそらく法人向け取引しかしていないため、個人は購入することができない。(もしもできた方いたら教えて下さい。)
7 今回のまとめ
今回はみさき投資株式会社の評判についてまとめてみました。
みさき投資株式会社ですが、個人で投資しようと考えた場合、最低でも数億円の資金が必要になる可能性が高いみたいです。
正直、これだけハードルが高いと、個人投資家にとっては手が届きにくいですよね。
それにしても、こういう高いハードルを設けたファンドを見るたびに、どうやって資金を集めているんだろうと考えてしまいます。
やっぱりメインターゲットは機関投資家とか、超富裕層なんでしょうね。
それでも、正直なところ、そういった人たちもインデックス投資みたいな「手数料が安くて安定している」選択肢を選ぶほうが理にかなっている気がします。
だって、投資の名著『敗者のゲーム』にも書かれているように、プロの投資家ですら市場に勝つのは本当に難しいのが現実なんですよね。
100年前、株取引の90%は一般の人たちによるものだった。
こうした状況では、プロの投資家は早く情報を入手できるので有利と考えられ、インデックス投資よりよい結果を残すこともできた。
しかし時がたつにつれて、ほとんどの人が投資信託や株価指数連動型上場投信に投資するようになり、現在で90%以上の取引が、プロの機関投資家によって行われるようになった。
そうなると、どんなに敏腕のプロも市場に勝っことはとても難しい。
(引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」)
なので、正直なところ、特別な理由や強い思い入れがない限り、ヘッジファンドに投資する必要はないんじゃないかな、と個人的には思います。
…とは言いつつ、実は僕自身はBMキャピタルというヘッジファンドに投資しているんですけどね笑
なんでかというと、これまでいろいろなヘッジファンドを調べてきた中で、BMキャピタルの投資手法は理論的にも納得できる部分が多いと感じたからです。
それは、株式投資の王道とも言える「バリュー投資」を、とにかく愚直に追求している姿勢にあります。
さらに、運営陣の経験や考え方、過去の運用実績を見ても「これなら納得できる」と思えたんですよね。
特にすごいなと思ったのが、市場が大荒れしているときでもしっかりプラスを出している点です。
こういう局面で結果を残せるのは本当に魅力的です。
まあ、インデックス投資で十分だと思ってもいますし、BMキャピタルを選んだのも、たまたま見つけただけですし、誰にでもオススメするわけじゃないです。
ただ、もしBMキャピタルに興味がある人がいたら、詳しくまとめた記事もあるので、良ければそっちもチェックしてみてください。
【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみた